2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanical processing platform for single cells and single molecules using optically-driven nanotools
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20H02118
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
寺尾 京平 香川大学, 創造工学部, 准教授 (80467448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ加工 / 1細胞解析 / 1分子計測 / 生体分子加工 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞・分子機械加工を達成するため、2つの構成要素からなるプラットフォームを実現する。一つはA)光操作型ナノ工具であり、もう一つは加工する場である加工テーブルに相当するB)マイクロ流体ワークテーブルである。 半導体微細加工技術によってナノメートルサイズの微小構造体を作製し、表面に様々な酵素・抗体を固定することで「ナノ工具」を実現する。このナノ工具は光操作するためのハンドル部と、加工するための反応部から成る。集光レーザーによりハンドル部をトラップ(光ピンセット)することで、溶液中で位置や姿勢を自在に操作できる。反応部に接触した生体分子はその位置でピンポイントに酵素が触媒する化学反応により加工される。もしくは、抗体により構造体に固定化される。 マイクロ流体ワークテーブルは、顕微鏡ステージに設置され、加工に必要な工具と細胞を収容し、細胞を所定の位置に搬送・配置する機能を持つ。2つの構成要素の本年度の具体的な研究開発実績を以下に示す。 A) 光操作型ナノ工具:加工条件の詳細を検討したナノ加工法について、加工限界(最小サイズ、加工面積、加工形状)の把握と光操作特性の測定を行った。また、ナノ工具の高度化に向けて電極パターンの形成手法の検討と電界シミュレーションを実施した。 B) マイクロ流体ワークテーブル:本デバイスはマイクロ流路の中に、ナノ工具を収容する工具ストックチャンバー、細胞配置アレイ構造と加工エリア、溶液導入ポートを有している。本年度は、キャピラリーを利用した簡易な回収機構を開発することで、効率的な実験が可能なプラットフォームの構築を目指し、マイクロ流体デバイスを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発するプラットフォームを構成する2つの技術要素について、本年度の計画に対して、研究開発を行った内容を以下に具体的に示す。 A) 光操作型ナノ工具:加工条件の詳細を検討したナノ加工法について、加工限界(最小サイズ、加工面積、加工形状)の把握と光操作特性の測定を計画通り行った。結果として、安定して200nm幅のナノニードル形状を有した構造体を数百万個一括で形成できるようになった。また、発生力、追従性などの操作に関わる複数の項目を評価した。加えて、ナノ工具のさらなる高度化に向けて、細胞の操作と加工を目的として、電極パターンの形成手法の検討と電界シミュレーションを実施した。 B) マイクロ流体ワークテーブル:本デバイスはマイクロ流路の中に、ナノ工具を収容する工具ストックチャンバー、細胞配置アレイ構造と加工エリア、溶液導入ポートを有している。本年度は、組み立て細胞の回収機能まで統合したマイクロ流体デバイスの開発に取り組む計画であった。しかし、細胞の非特異吸着などの課題があったことから、まずは、組み立て細胞の培養を実証するため、キャピラリーを利用した簡易な回収機構を開発することを優先した。本年度はキャピラリーで回収可能なマイクロ流体デバイスの設計と製作までを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、細胞・分子機械加工を達成するため、2つの構成要素からなるプラットフォームを実現する。一つはA)光操作型ナノ工具であり、もう一つは加工する場である加工テーブルに相当するB)マイクロ流体ワークテーブルである。2つの構成要素の今後の具体的な研究開発課題を以下に示す。 A) 光操作型ナノ工具:ナノ工具のさらなる高度化を目指し、今年度検討した作製法及びシミュレーションに基づく設計から進めて、ナノ構造部への金属パターニングを試みる。合わせて、さらに生体適合性を高めるため、柔軟で透過性の高いゲル素材を用いた作製法について検討を開始する。 B) マイクロ流体ワークテーブル:本デバイスはマイクロ流路の中に、ナノ工具を収容する工具ストックチャンバー、細胞配置アレイ構造と加工エリア、溶液導入ポートを有している。本年度作製したキャピラリーを利用した回収機構を利用し、今後逐次組み立てを行った細胞クラスターの回収と培養を実証する。
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Research Products
(8 results)