2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fundamental technologies for high-speed underwater wireless optical communications
Project/Area Number |
20H02148
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
塙 雅典 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90273036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40402086)
鈴木 一克 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (60436714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水中光無線 / PAM4 / パーシャルレスポンス符号化 / 最尤推定 / トレリス |
Outline of Annual Research Achievements |
光無線通信の実験環境の整備を行うと共に,光源と受光素子の帯域が不足しがちな可視光無線通信において効率の良い伝送の実現を目指し,コンピュータシミュレーションによって狭帯域変復調方式の検討を行った。 長距離高速光無線通信実験を行うために,変調帯域幅1GHz,光出力1Wの青色レーザを備えた直接強度変調光無線送信機モジュールと,出力復調電気信号帯域幅がやはり1GHzの直接検波光無線受信機モジュールを導入した。これと,保有する高速任意波形発生器またはパルスパターンジェネレータおよび広帯域リアルタイムサンプリングオシロスコープ(3機器ともメインボード他の故障により研究年度内にメーカー修理を実施)を組み合わせることで,強度変調直接検波方式における1Gbit/s超の光無線通信実験を行うことが可能となった。 上記実験環境の整備と並行して,4値パルス振幅変調(PAM4)及びPAM4を元にした7値パーシャルレスポンス符号化(PAM4-PRS7),PAM4-PRS7信号の最尤推定(PAM4-PRS7-ML)方式の検討を行った。この方式では信号シンボル間に生じる相関を利用して狭帯域化を実現する方式だが,信号レベル数が増加するために,誤り率特性が大幅に劣化する。本シミュレーションではPAM4と比べて約4.5dBのパワーペナルティを生じたが,時間的に連続する2つのPAM4シンボルから2種類の状態遷移図とトレリス(状態ラベル型-,遷移ラベル型-)を定義して最尤推定を行った結果,状態ラベル型で0.1dB,遷移ラベル型で1.7dBの改善を得た。また,PAM4方式では1Gbaudでビット誤り率1e-3を実現可能な伝送限界帯域制限が700MHzであったのに対し,PAM4-PRS7-ML方式では400MHzであり,43%の帯域幅低減が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」にも記載したように,本研究課題において光無線通信実験の実施に必要不可欠な高速任意波形発生器,パルスパターンジェネレータ,広帯域リアルタイムサンプリングオシロスコープの3機器全てが,メインボード他の故障により次々と使用不可能となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け予定していた海外出張等が全て不可能となり,博士課程への外国人留学生の来日も取りやめになったことから,当初予定を大幅に変更して,これらの機器のメーカー修理を本助成金を用いて実施した。雇用を予定していた実験補助担当者の不在とこれらの機器の故障のため,光無線通信実験の準備がやや遅滞している。 現在はPAM4およびPAM4-PRS信号の生成,取得,オフライン復調実験を進めており,これが完了次第,光無線変復調モジュールを用いた光無線通信実験を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,PAM4-PRS7-ML方式による光無線通信実験の準備を進めている。高速任意波形発生器によってPAM4-PRS7信号を生成し,広帯域リアルタイムサンプリングオシロスコープによって取得した波形データをPC上でオフライン復調し,PAM4-PRS7方式の誤り率特性を実験的に評価する作業を実施している。年度内にPAM4-PRS7-ML方式による2Gbit/s超の光無線通信実験を実施する予定である。また伝送速度の向上を目指し,さらに多値度の高いPRS-ML信号の性能評価を行うと共に,昨年度からPAM4-PRS7信号の特性改善を目指して進めている非線形等化器の性能評価を並行して進める。 本研究遂行上の最大の問題点は,予定していた外国人留学生の博士課程入学が取りやめになったことによる高度な機器の取り扱いが可能な実験担当者の不在である。現在研究室に在籍している学生(主に修士課程と学士課程の学生)に直接指導しながら少しずつ実験を進めているものの,博士課程学生のような高い研究への熱意がなく,広帯域ドライバアンプなどのセンシティブな機器の取り扱いに大きな課題がある。学内のものづくりセンター技術職員に業務協力依頼を出し,広帯域ドライバアンプを装置化(ここでは電源等を備えたボックスに封入し,計測機器等と同様に扱えるようにすること)することにより,「誰にでも扱える実験環境」の構築を進めているが,さらにこれを進めて,同センター技術職員に実験補助を業務委託する方向で検討している。
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