2022 Fiscal Year Annual Research Report
MIMO-OFDM Receiver using One-Bit Analog-Digital Converter Utilizing Noise
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20H02149
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山里 敬也 名古屋大学, 教養教育院, 教授 (20252265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 将人 琉球大学, 工学部, 准教授 (30335476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率共鳴現象 / 1bitアナログ/デジタル変換器 / MIMO-OFDM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分解能が最も低い1ビットアナログ・デジタル変換器(1-bit ADC)であっても,雑音を利用して,低い分解能を超える信号を受信できることを実証する.具体的には,我々がこれまで行った確率共鳴現象の検討結果を発展させ,雑音を利用する1-bit ADCを用いた信号受信の基礎理論を構築することを目的とする.対象とする信号として,第5世代移動通信(5G)で採用されているMIMO-OFDM信号を取り上げる.そのような複雑な信号であっても,雑音を利用する1-bit ADCを用いた受信機で復調できることを,受信機の開発と受信実験を通して実証する. 本研究の目的は,分解能が最も低い1bit ADCでも,雑音を利用することによりその分解能を超えた信号を受信できることの実証である.具体的には,モデル化を行い解析し,解析結果を基に受信器を開発する.その受信器を用いた実験を通して1-bit ADCを用いた受信機が実際に利用できることを実証する.なお,本研究では,5Gで採用されているMIMO-OFDM信号を取り上げ,そのような複雑な信号であっても,雑音を利用する1-bit ADCを用いた受信機で復調できることを,実験により実証する.これまで雑音は,工学的には邪魔なものとしてフィルタ処理等を駆使して積極的に取り除かれてきた.これに対し,本研究では雑音を積極的に利用する.あえて雑音を利用する通信システムの検討を行うことで,これまでとはまったく異なる考え方に基づく,新しい通信システムの構築を目指している.ここに本研究の学術的独自性と創造性があると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円安の影響もあり電子部品などの価格が上昇している.また,納期も長くなっていたところ,繰り越しをお認めいただいたお陰で余裕をもって計画通り進捗できている.結果として,本年度の実績として1-bit ADCを用いた場合の信号受信は雑音と1-bit ADC出力となる二値信号の和としてモデル化できる.具体的には1-bit ADC出力は多項式を用いて近似でき,適切な雑音下では1-bit ADCの平均をとることで,1-bit ADC入力信号を推定できることを理論的に明らかにした.この成果をまとめIEEE Transactions on Communicationsに投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としてはフェージング環境下におけるMIMO-OFDM信号受信に取り組む予定である.MIMO-OFDM信号の場合,信号振幅が大きく変動するが,本研究で開発した1-bit ADC受信機で,きちんと信号受信ができるのか確認する.
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