2021 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン素子における静・動的解析に基づく極微量分子の精密同定法開発
Project/Area Number |
20H02159
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生田 昂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80805929)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正井 宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70793149)
玉木 孝 京都大学, 工学研究科, 研究員 (90815490)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グラフェン / 微量検出 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小型微量化学種分析装置を実現するために、超分子修飾グラフェン電界効果トランジスタ(FET)による分子識別素子の開発を行う。これは小型電子デバイスを利用して、有機分子が持つ官能基や分子骨格に関する情報を取り出す前例のない検出素子の実現を目指す。 当該年度は、グラフェン上に超分子を修飾した場合や、更にその上に異なる分子を吸着させた場合の変化を評価するために電気特性評価を行った。超分子としては、昨年度二酸化窒素の微量検出に成功した、金属ポルフィリンとポルフィリンと分子骨格が似ている金属フタロシアニンを利用した。それぞれを修飾したグラフェンデバイスに対し、酸性ガスである二酸化窒素と二酸化硫黄を導入した前後での電気特性を測定することにより、検出特性の評価を行った。 従来のDC的な測定方法では類似した分子が吸着した際は、同方向の伝達特性シフトが観察されたため、分子の識別が困難であった。一方で、電流の動的測定を用いた場合では、特定の分子の組み合わせに対してのみノイズスペクトラムの変化が観察された。また、この計測においては昨年度に成功した濃度領域がppbレベルでの計測も併せて実現でき、微量分析にも利用可能であることを実証した。これにより、DC測定と電流の動的測定を相補的に組み合わせることにより、従来成し遂げることの困難であった分子認識に成功した。 以上のように、本研究ではグラフェン上に超分子を修飾し、その電気特性をDCもしくは動的に評価することにより、特定の分子の組み合わせに起こる変化の検出に成功した。これは、従来実現してきた微量検出の結果に新たな情報をもたらす技術となりえる結果であり、分子分析への応用が期待される結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績に記載の通り、本研究の目的としていたグラフェンデバイスを用いた分子の微量検出並びに、特定分にのみ起きる現象の観察にも成功しており、研究の進捗状況は順調である
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度に成功した、電流の動的特性を利用した分子検出において、未解明であるノイズスペクトラム変化の原因の究明を優先して行う。これにより、ノイズスペクトラムの変化と分子由来の情報の相関を取得し、電子デバイスを用いた分子検出の高度化を目指す。
|
Research Products
(6 results)