2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of compact super-resolution microscope using three-dimensional measurement technology based on speckle interferometry
Project/Area Number |
20H02165
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新井 泰彦 関西大学, システム理工学部, 教授 (80131415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 誠司 関西大学, システム理工学部, 教授 (30202493)
多川 則男 関西大学, システム理工学部, 教授 (50298840)
前 泰志 関西大学, システム理工学部, 教授 (50304027)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超解像顕微鏡 / 装置のコンパクト化 / スペックル干渉計測法 / 位相検出 / 完全光学系 / 散乱光 / シミュレーション解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の原理については、2019年度以前では,研究代表者によって確立されているスペックル干渉計測技術に基づく超解像に関するすべての測定原理の検証を連続したマイクロ構造物 (対物レンズの回折限界を超えた回折格子)によって行い,その正当性を示してきた.2020年度には,本手法の検証を実光学系よって行う際に,従来行ってきた規則性を持ったマイクロ構造物ではなく,直径700nmのマイクロ球を測定することで,本手法が連続した構造物を対象としたものだけに限らないことを示した.さらに,本手法の2次元構造物の計測の実現のために,マイクロ文字(回折限界を超えるサイズのアルファベット活字で数100nm角の文字)の読み取りを対象とした取り組みを行った. 研究対象としているコンパクトな測定装置の開発として,ハードウェアの改善としては,光学系を2m四方の大規模なプロトタイプの光学系から,0.6×0.7mのアクティブ除振台上に光学系を構成することで,測定器をコンパクトな顕微鏡として構築した. また,測定原理については,継続して検証を行ってきたものの,本手法がなぜに回折限界を超える対象物の測定が可能であるのかについての物理的考察を行い,本手法の測定原理の妥当性を改めて確認した.今後さらに,物理的な考察を,シミュレーションを通して明確な根拠の下に継続して検討する予定である. 2020年度は「測定原理の検証に関する取り組み」,「マイクロ球を用いた不連続な対象物の測定に関する取り組み」,「マイクロ文字の読み取りに関する取り組み」のそれぞれに関して”modern optics”, “Phonics”の各海外誌において成果を報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は,2020年度からの補助金のもとに研究を推進している.しかし,本研究の基礎となる原理原則は,2019年度以前におおよそ確立されていたものであり,その原理原則に基づいて研究を現在発展させている.したがって,研究初期段階における原理・装置の連携等の論理矛盾の検討,申請書における装置の導入などの一般的に発生する問題点は,すでにおおよそ解決済みであったことから,順調に研究は進捗しており,申請書に記載した二年目の課題についても現在実施するに至っている.これらの成果を海外の有力雑誌において初年次より報告することができている. なお,成果の報告のための国内学会,国際会議への参加が難しくなるであろうことが研究開始時に懸念されていたことから,2020年度の当初より,口頭での成果発表ではなく,インパクトファクターが2あるいは3程度のこの分野における海外紙を通して成果を報告することに,公表に関する方針を転換した結果,成果の報告については,2021年4月段階ですでに3論文を公表するなど円滑に研究を実施することができている.さらに,投稿依頼が届くに至っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に開発した観察光学系と照明光学系を組み込んだスペックル干渉計を0.6×0.7m 四方のアクティブ除振台上で構成し,従来のプロトタイプスペックル干渉計との測定結果の比較を通じてコンパクト化された新しい光学系の基本特性を継続して検証する予定である. 並行して,現在までに研究代表者が構築してきたスペックル干渉計測のための演算時間の短縮を目指して高速解析プログラムの開発を図り,実時間計測を目指した処理の高速化をめざす予定である. さらに,測定原理の物理的解釈の明確化を目指して,2020年度に引き続き,シミュレーションによって,マイクロ文字,マイクロパターンを用いて,ランダム形状を持つ対象物に対する特性を検討し、二次元対象物の計測が可能な論理形成を行う予定である. コロナ禍で当初予定していた海外での研究成果の公表が十分にできなかった問題を国際会議での公表から海外の有力雑誌を通したオープンアクセスに基づくより広い分野に迅速に成果を報告できるような公表方法へと成果報告手段を変更する対応を今後も計画している.引き続き2021年度も海外の有力雑誌による研究成果の公表に努める.
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