2021 Fiscal Year Annual Research Report
軟磁性微粒子の高周波帯域における磁気損失の起源解明とその設計手法の開発
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20H02179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10292278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 武仁 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (50206182)
吉田 栄吉 東北大学, 産学連携先端材料研究開発センター, 特任教授 (70500867)
田丸 慎吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70773802)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80436170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟磁性 / 高周波 / 磁波抑制 / パワーデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
5G通信における信号品質の確保やパワーデバイスのスイッチング周波数の高周波化に伴い、MHzからGHz帯域での軟磁性微粒子の磁気損失制御が重要な課題となっている。現状ではデバイス実装が先行しており、この周波数帯域における磁気損失に関する学術的理解はほとんど進んでいない。これまでは軟磁性微粒子の集合組織での特性が評価されてきたのみであるが、本研究においては、その構成要素である単一軟磁性微粒子の高周波特性を詳細に調べ、その磁気損失の起源解明を第一の目的としている。次に、この単一軟磁性微粒子の結果を集合組織に反映させる理論モデルを構築し、集合組織として所望の磁気損失特性を実現する設計手法の確立を第二の目的としている。本研究の成果は、今後の高速通信やパワーデバイスに大きく貢献するものである。 本年度はSPring-8のXMCD顕微計測を用いて単一扁平磁性粒子の磁化状態観察を行った。その結果、理想的な磁気Vortex構造ではないものの、flux closure状態が複数形成されており、前年度までの低周波領域と高周波領域の吸収ピークに対応する磁化状態であることを確認した。次にトランス結合型透磁率計を用いて、扁平磁性粒子の透磁率スペクトルの粒子サイズ依存性を詳細に計測した。その結果、これまでの低周波領域と高周波領域の吸収ピークだけでなく、中間周波数領域にも吸収ピークが存在していることが分かった。低周波領域の吸収ピークはVortexコアの周回運動で、高周波領域の吸収ピークは磁気Vortex周辺部の一斉励起であるflux closureモードで説明できるが、それに加えて各flux closure状態における一斉励起モードで中間周波数領域の吸収ピークが説明できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目として、扁平磁性紛の磁化状態の直接計測ならびに透磁率スペクトルの粒子サイズ依存性の詳細解析が実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(2022年度)は、パワーエレクトロ用磁性材料の損失挙動解析を目的とする。ブロードバンド透磁率計測ならびに鉄損計測により、損失の物理起源を解析する。
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