2022 Fiscal Year Annual Research Report
「液体Si-固体Si変換」の追及による液体Siエンジニアリングの創出
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20H02180
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 貴史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70643138)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は独自材料である「液体Si」を研究対象とし、電子線(EB)照射で進行する「液体Si→固体Si」変換の実証とその原理解明を目的とした。そして固体Si(ウェハ)や気体Si(シランガス)に立脚した従来のSi工学の延長では困難とされた「非加熱・非真空・ナノサイズ・3次元印刷」のSi製膜技術を創出することを目指した。本年度前半は、昨年度に発生した実験設備の致命的なトラブルの復旧に努めた。年度後半は、ドープ液体Siを用いた「液体Si→固体Si」変換の実験に取り組んだ。複数のドーパント材料を添加した「ドープ液体Si」を用いてLP-EBIDの実験を行ったところ、p型ドーパントにはデカボランが、n型ドーパントには黄/白リンが適していることが明らかとなった。いずれも水素化物であり、分解時に炭素が発生しない。一方でこれまでの加熱による「液体Si→固体Si」変換で用いることが可能なドーパント材料(アラン錯体、ボラン・THF錯体、アミン錯体)は、今回のLP-EBID法では不適切であった。ドーパントの分子構造中に含まれる炭素や酸素が残留してSi膜中に取り込まれる問題や、もしくは膜がポーラスになる、といった問題が確認できた。今後はLP-EBIDのドーパントの分解/反応機構の解明にも取り組んでゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p型およびn型の「ドープ液体Si」を合成し、そのLP-EBIDによりドープSi膜の直接描画を試みた。ドーパント材料には、p型としてアラン・トリエチルアミン、BH3・THF錯体、デカボランを、n型としてリン(黒、赤、黄、白)を用いた。このうちアラン・トリエチルアミンとリン(黄、白)は販売されていないため、自分たちで合成をした。p型ドーパント:アラン・トリエチルアミンを液体Siに添加するとAlH3(アラン)が液体Siと反応し、Alドープが達成できる。しかし材料としての安定性が低く、またLP-EBIDでは残留したトリエチルアミンの炭素が残留するため膜純度が低下した。BH3・THF錯体はボランがルイス塩基として働き、一方で液体SiのSi-Hがルイス酸として働くことで、B-H-Siのブリッジ構造を形成し、それが最終的にSi-Bの挿入反応を起こすことが明らかとなった。この時、THFはSi骨格内に取り込まれることはなかった。しかしLP-EBID後に得られるSi膜がポーラスになることから、THFの存在がSi膜の高密度化の阻害要因になることが明らかとなった。デカボランは液体Siとの反応性が低いため、加熱による「液体Si→固体Si」変換ではSi膜中にはほとんど取り込まれなかったが、今回のLP-EIBDでは問題なくSi膜中への取り込みが確認できた。n型ドーパントでは、黒リン、赤リンはSi膜中への取り込みが確認できなかったのに対し、黄リン、白リンはSi膜中への取り込みが確認できた。後者の持つ反応性の高さが、そのままLP-EBIDでも表れていた。以上のことから、液体Siのドーパントとしてp型にはデカボランを、n型には黄/白リンを用いることで「ドープ液体Si」を得ることができ、そのLP-EBIDでドープSi膜の直接描画が可能なことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
液体SiのLP-EBIDにより、半導体に必要なp型、i型、n型のSiの直接描画を実証した。i型Siの際に用いたシミュレーション解析(DFTやモンテカルロシミュレーション)を、p型とn型にも展開をしてゆく。特にドーパント材料の分解/活性化機構を解析する。また「液体Si→固体Si」変換速度の高効率化、基材との密着性向上を目的とした添加剤の検討にも取り組む。「液体Si→固体Si」変換の起点は基材と液体Siの界面であるため、この界面の制御(界面活性剤の添加や、自己組織化単分子膜による界面処理)により、固体Siの堆積現象がどのように変化してゆくのかを調べる。
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