2020 Fiscal Year Annual Research Report
利得特性を制御した量子ドットによる超広帯域波長掃引光源の開発とOCTへの応用
Project/Area Number |
20H02183
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
尾崎 信彦 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30344873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 主任エンジニア (10415771)
渡辺 英一郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, エンジニア (10469786)
久保 隆史 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30316096)
赤阪 隆史 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70322584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子ドット / 波長掃引光源 / 光コヒーレンストモグラフィー(OCT) / 分子線エピタキシー(MBE) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、半導体ナノ材料である自己組織化InAs量子ドット(QD)を用いて、近赤外波長で広帯域な掃引幅を持った波長掃引レーザ光源(SS)を開発し、医療用断層イメージング技術である光コヒーレンストモグラフィー(OCT)への応用を目指している。InAs-QDは格子歪により自己組織的にエピタキシャル成長する半導体ナノ結晶であるが、一定のサイズ分布を有するため、量子サイズ効果によって広帯域な発光および光学利得を示す。また、GaAs基板上に成長したInAs-QDは、発光波長が生体サンプル内により深く浸透する近赤外波長帯にあり、さらに、成長条件によって発光中心波長を制御できる。これらの特長を利用して、近赤外波長帯において広帯域な可変レーザー光源を実現し、OCT画像の高分解能と高画像深度を両立させることが狙いである。 研究の初年度である2020年度では、まず生体透過性の高い波長帯で広帯域な発光および利得特性を示すQDを得るための成長条件最適化を行った。次に、その成長条件により発光波長を制御されたQDを含有する光利得チップを作製し、外部共振器に導入することでQDベースの波長掃引レーザー光源(QD-SS)の開発を行った。その結果、生体サンプルに含まれるヘモグロビンおよび水の吸収が特に少ない1ミクロン帯でのレーザ発振および波長掃引が確認でき、その波長掃引特性がどのような光学素子要素で変化するかを系統的に調べた。また、作製したQD-SSを自作のOCTシステムに導入し、テストサンプルによる点拡がり関数(PSF)の取得ならびに強度減衰の評価を行った。これらの結果から、今後のQD-SS開発の指針を立てる上で貴重なデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の影響で、実験開始が大幅に遅れたこと、研究分担者の所属先であるNIMSへの出張実施に支障がでたことなどの理由により、特に年度前半は当初予定していたスケジュールから大きく遅れが生じた。しかし、年度後半には体制を立て直し、一定の研究成果を得ることができ、学会発表や論文投稿などの成果報告も行うことができたため、全体としては大幅な遅れとはならず、やや遅れているという状況まで回復したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の新型コロナウイルス感染拡大の影響が予測できない状況ではあるが、可能な限り出張実験等を行い、デバイス作製の最適化を進め、当初の目的を達成すべく研究を推進していく。具体的には、初年度で明らかになった波長掃引特性をもとに、QD利得チップおよび外部共振器の最適化を進め、QD-SSの性能向上を中心に研究を進める。また、同時にSS-OCTシステムの性能向上を図り、実用的なOCTシステムに発展させるための画像取得手法や、光学的な要素技術の改善を図っていく予定である。
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Research Products
(7 results)