2021 Fiscal Year Annual Research Report
High Jc superconducting film by controlling the nanostructure and carrier density.
Project/Area Number |
20H02184
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
三浦 正志 成蹊大学, 理工学部, 教授 (10402520)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ナノひずみ / キャリア / 超伝導薄膜 / 機能性材料 / ナノコンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超伝導の3つの臨界状態の中でも応用上重要である臨界電流密度 (Jc)を特にひずみとキャリア制御により向上させる。また、その結果をもとに多くの超伝導材料に適するJc向上に向けた材料設計指針を確立することを目的とした。また、本研究で実施する『ナノ異相+ひずみ+キャリアの融合』は、多くの機能性電気薄膜の機能をさらに引き出すのに貢献する知見を得ることを目指す。 2021年度は、超伝導材料としては、これまで実績のある銅酸化物超伝導材料である銅酸化物を中心に薄膜作製および評価を行った。①ひずみがJc特性に及ぼす影響を検討するため、気相法であるパルスレーザー蒸着(PLD)法を用いて銅酸化物超伝導相よりc軸長の長いペロブスカイト構造酸化物非超電導材料の添加量・成長環境を制御し、その形状(ナノロッド形状からナノ粒子形状まで)や密度が母相へ導入するひずみを制御した。②①のひずみが母相のキャリアやJc特性に及ぼす影響を検討するため、ナノ組織の異なる薄膜の電気特性を評価した。その結果、ナノ組織に起因したひずみがキャリアやJc特性に強く影響することが分かった。 これらの結果は、APL Materials 2021への掲載、Nature Materialsを含む査読付き学術論文3報に投稿中である。また、国際学会2件、国内学会5件で研究成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要に記したように、2021年度の目的に向けて、ひずみとキャリアがJcに及ぼす影響に関して予定に近い成果を得ることができた。また、当初の予定にはなかったコヒーレントな界面を有する非超電導材料を導入し、ナノロッド形状からナノ粒子形状まで形状制御することでナノひずみ印加技術を検討した。その結果、2020年の結果に加えて微細構造観察とJc特性の関係を明らかにすることで飛躍的にJcを向上させることに成功した。成果発表としてはこれらの結果は、APL Materials 2021への掲載、Nature Materialsを含む査読付き学術論文3報に投稿中である。また、国際学会2件、国内学会5件で研究成果を発表した。以上のようにおおむね順調と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2020・2021年度で得られた①ナノサンドイッチによるナノひずみ印加技術と②ヒドリド注入による高キャリア注入技術とこれまで培ってきた『インコヒーレント非超電導相導入技術』を融合させる。また、2021年度で得られた『コヒーレント非超電導相導入技術』にも高キャリア注入技術を融合させる。また、応募者の材料設計指針が幅広い超電導材料に適応できるかを検証するために、金属系や他の酸化物系超電導薄膜等へ応用し、特性を最大限に引き出す超電導材料設計の指針を確立する。
|