2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fluoride based high-k dielectric thin film materials for MIS structure
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20H02188
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長田 貴弘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (10421439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フッ化物 / 高誘電体材料 / キャパシタ構造 / 光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化物誘電体材料の界面制御について以下の2点を目的に研究を実施している。 1) フッ化物/半導体界面の欠陥構造を明らかにし、その制御法を確立する(チャネル材料はGaNを使用) 2)フッ化物/Ge界面制御によるEOT<0.5nmの実現 これらに対して前年度はフッ化物の組み合わせによる欠陥・界面制御の可能性を検討し、1)に対してはイオンの価数変化を組み合わせることで電荷中性条件を制御し、欠陥構造の低減による漏れ電流の低減を実現した。また、2)に対して熱拡散理論をベースとしたデータ群からGeの拡散バリアとして機能し、比較的高い誘電率として機能するフッ化物を抽出し、その初期層の形成条件を検討することで期待された界面の改善が得られた。今年度は素子構造でのヘテロ界面でのナノスケールでの構造評価と高度な電気特性評価を実施することで課題の抽出と機能向上を試みた。フッ化ランタンとGaNのキャパシタ構造を硬X線光電分光法で評価を実施し、フッ化ランタンが6eV以上のバンドギャップを有し、GaNに対してTypeI型のバンドアライメントで絶縁膜として機能することを確認した。一方でフッ化物層の欠陥構造と結晶化による漏れ電流増加が課題となることが確認された。類似の評価をGe基板上でのフッ化セリウムで実施し、こちらもTypeI型のバンドアライメントを有していることを確認したが、一方で30nm程度の膜厚を有するフッ化セリウムに対して表面近傍までGeの拡散が確認され、拡散抑制層の導入の必要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状ではフッ化物の高誘電体絶縁膜の可能性と欠陥形成、拡散に関する学術知見を得られたが素子機能の向上のための欠陥・拡散抑制には課題が残っている。 今年度はフッ化物/半導体キャパシタ構造の硬X線光電子分光法によってフッ化物が高誘電体材料としてTypeI型のバンドアライメントを形成可能であり、バンドギャップも6eVを超える性能を有する組み合わせが可能であることを示した。これは既存の酸化物高誘電率材料に対して優位な性能といえる。一方でフッ素欠陥形成と酸化による誘電率低下などの課題も明らかとなった。これに対しては半導体側の界面制御と併せてフッ化物層の結晶化制御についても検討が必要であると考える。特にフッ化ランタンは低温でも結晶化しやすく、GaNと結晶構造が同じであることから低温形成とポストアニールなどによる処理か、GaN表面のパッシベーション処理などが有用であると考える。 一方でGe基板上ではフッ化バリウムを形成することで一定のGe拡散の抑制効果を確認したがその膜厚が実効的な誘電率に与える影響については追加の検討を必要とする。
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Strategy for Future Research Activity |
フッ化物材料が高い誘電率とバンドギャップの選択性において、既存材料に対して優位な特性を持っていることは明らかとなった。しかし、ヘテロ界面を形成した際に界面の安定性についてはプロセスの改善もしくはパッシベーションなどの処理が必要になると考える。この点についてはフッ化物層の結晶化との関係性について検討するとともにGaN系材料では表面のフッ化処理などのパッシベーション、Ge基板については拡散を抑制するフッ化物材料の探索と界面反応機能の解明について継続的に実施していく。これにより、キャパシタ構造での実行誘電率の向上を目指す。
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