2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study on finite temperature properties of spin transport phenomenon
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20H02190
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
三浦 良雄 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, グループリーダー (10361198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 啓介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 研究員 (40732178)
只野 央将 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 主任研究員 (90760653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 第一原理計算 / スピン異常ホール効果 / 磁気ダンピング効果 / 磁気抵抗効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度、L10-XPt合金(X=Fe,Co,Ni)のスピン異常ホール効果の理論計算を行い、Fe,Co,Niと価電子数が増大するとともに、特にNiPtでPtの反結合軌道の影響で、少数スピン状態における負のベリー位相が生じることにより、スピン異常ホール伝導度が増大することを見出した。これらの成果を論文(Phys. Rev. Mat. 5, L101402 (2021))に発表した。 また、トンネル磁気抵抗効果の温度依存性の理論解析を行い、温度依存性を決定する重要な物理因子として、伝導的s電子と局在d電子との間の原子内交換相互作用Jsdが重要であることを見出した。また、第一原理計算と局在ワニエ関数を用いたJsdの計算から、Fe1-xCoxのJsdがxの増大とともに減少し、それに伴ってTMRの温度依存性も小さくなることを理論的に見出した。以上の成果は論文(Phys. Rev. B 104, L180403 (2021))に発表した。 さらに、ワイル半金属としてしられるB20-CoSiのスピンホール効果の理論解析を行い、そのメカニズムを理論的に明らかにした。理論的にはΓ点でのCo(d)-Si(p)結合が大きなスピンベリー位相の起源となることを見出した。以上の結果は、実験グループとの共同研究として行い、論文(Phys. Rev. B 3, 033101 (2021))に発表した。 また、スピネルバリアMgAl2O4を用いたトンネル磁気抵抗素子Fe/MgAl2O4/Fe(001)において、両界面にMgOを1層から3層挿入することにより、1000%を超える高いTMRが得られるだけでなく、TMR比のバイアス電圧依存性が改善されて大きなVhalfが得られることを理論的に見出した。以上の成果は論文(Phys. Rev. Appl. 16, 044037 (2021))に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、磁気センサーやMRAMに使われているトンネル磁気抵抗効果や3端子スピンロジックでのスピン軌道トルクの動作現象であるスピン(異常)ホール効果、また磁化ダイナミクスにおいて重要な因子となる磁気ダンピング定数の温度依存性の要因を、強磁性体バルク領域と接合界面領域に両方に対してスピン輸送の第一原理計算を行うことにより明らかにすることである。 これまで、トンネル磁気抵抗効果やスピン異常ホール効果の理論解析およびその有限温度効果の理論解明を行い、論文成果としてまとめることができており、概ね順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、磁気ダンピングの有限温度フォノン効果とおよび有限温度機械学習による高スピン偏極ホイスラー合金の探索を行い、論文成果としてまとめる予定である。また、磁気ダンピングやスピン異常ホール伝導度の有限温度依存性に、スピン揺らぎの効果も実行的に取り入れる手法の検討も行う。最終年度として、これまでの成果を取り纏め、さらに大きなプロジェクトへ展開するための検討を行う。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Spin Hall effect in a spin-1 chiral semimetal2021
Author(s)
K. Tang, Y.-C. Lau, K. Nawa, Z. Wen, Q. Xiang, H. Sukegawa, T. Seki, Y. Miura, K. Takanashi, and S. Mitani1,2
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW RESEARCH
Volume: 3
Pages: 033101/1-10
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Book] スピントロニクスのための計算機ナノマテリアルデザイン2022
Author(s)
吉田博, 白井正文, 赤井久純, 浜田典昭, 小田竜樹, 中村浩次, 神吉輝夫, 佐藤和則, 真砂啓, 福島鉄也, 新屋ひかり, 三浦良雄, 大戸達彦, 阿部英介
Total Pages
291
Publisher
内田老鶴圃
ISBN
978-4-7536-2201-6
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