2020 Fiscal Year Annual Research Report
不揮発性トンネルFETメモリによる超低消費電力ニューラルネットワークチップの開発
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20H02193
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木野 久志 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10633406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 誉史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10374969)
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | STDP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではシナプスの特性を再現した不揮発性トンネルFETメモリによる大規模演算に向けたニューラルネットワークの実現を目指す。近年、脳の階層的情報処理を模したディープニューラルネットワークの活躍は目覚ましいものがある。一方で、神経細胞の発火スパイクの影響まで模したスパイキングニューラルネットワーク(Spiking Neural Network; SNN)には次世代の大規模ニューラルネットワークとして高い関心が寄せられており、様々なメモリデバイスによるシナプスの再現が提案されている。一般に、SNNはシナプスの結合の強さを示す”重み”を保存するメモリ素子とニューロンを模したスパイク生成回路で構成される。本研究ではこれまでのメモリにない特長を有する不揮発性トンネルFETメモリを活用した大規模な超低消費電力ニューラルネットワークを研究開発する。 SNN用のメモリ素子には神経細胞と同様のスパイクタイミング依存可塑性(Spike Timing Dependent Plasticity; STDP)を有することが求められる。本年度はトンネルFET(Field Effect Transistor; 電界効果型トランジスタ)のゲート電極に酸化膜/窒化膜/酸化膜構造を有する不揮発性トンネルFETメモリを実際に試作し、トンネル効果による駆動と不揮発性メモリとしての基本特性を得ることに成功した。そして、3段の電圧パルスにより表現される神経信号を用いた対称性STDPおよび非対称性STDPの発現を確認した。これらの特性は試作したメモリがSNN用のメモリして応用可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の予定は本研究で提案するSNN構築に必要な"重み"を保存する不揮発性トンネルFET素子の試作と、その特性評価である。 現在までにその試作を終え、所望の特性を得ることに成功しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにSNNにおいてシナプスの結合の強さを示す"重み"を保存するメモリ素子の試作を終えた。SNNは主にシナプス回路とニューロン回路によって構成される。2年目では初年度に開発したメモリ素子を用いたシナプス回路を試作する予定である。
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