2020 Fiscal Year Annual Research Report
シリコントランジスタのゲート制御による電子正孔系の形成と量子凝縮現象の発現
Project/Area Number |
20H02203
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
堀 匡寛 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (50643269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 行徳 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80374073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シリコン / MOSFET / 電子正孔系 / 凝縮現象 / 再結合 / 励起子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、電子正孔系の凝縮現象をエレクトロニクスに応用することを念頭に、シリコンにおいて凝縮体を観測し、これを制御する技術を確立することを目的としている。具体的には、パルス電圧によるトランジスタ・ゲート操作技術を用いることで、電子正孔密度を従来技術よりも広い範囲で精密に制御し、これにより、シリコンにおける電子正孔系の凝縮現象を体系的に調べることのできる技術を確立する。 2020年度は、ゲートパルス制御による電子正孔系の形成の確認とその密度制御を目的とした。N型シリコンMOSトランジスタのゲートに対して、①負電圧を印加して正孔を蓄積させた状態から、②高速に正方向に電圧を掃引した。その結果、トランジスタのしきい値電圧以下にもかかわらず、電子がチャネルに流入し、電子正孔再結合電流が検出された。このことは、期待した通り、MOS界面に正孔が蓄積された状態のまま、その正孔に引き付けられるようにソース・ドレイン端子から電子が流入していることを示唆している。また、ゲートパルスの振幅、および、ベース電圧(パルスの下端電圧)をパラメータとして再結合電流を評価したところ、それぞれのパルス電圧操作により、電子密度と正孔密度を独立して制御できることが確認された。一般的な方法では、電子と正孔のペアを光励起により生成しており、それらの個数は原理的に同数であることから、本手法は電子正孔系の解析の幅を広げるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MOSトランジスタのゲートパルス制御により、電子正孔共存系が形成されていることを示唆するデータを取得した。また、パルス電圧のパラメータ(振幅、ベース電圧)に依存して電子密度と正孔密度を独立して制御できることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
電子正孔系の形成を示唆する再結合電流が検出されたことを踏まえ、再結合電流の解析を進める。特に、再結合電流のパルスパラメータ(パルスの振幅、ベース電圧、周波数、立上がり/立下り時間など)依存性を系統的に調べる。また、時間平均された定常電流とともに、実時間領域における過渡電流も取得する。ここでは、電子電流(ソース/ドレイン電流)および正孔電流(基板電流)の両方の電流を取得し、ゲートパルスの印加に伴う電子と正孔の出入りや電子正孔系形成の素過程を調べる。
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Research Products
(4 results)