2021 Fiscal Year Annual Research Report
集積化酸化物センサのナノ時空間熱制御によるロバストな多種分子識別
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20H02208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 綱己 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60724838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子センサ / 集積化センサ / 自己加熱効果 / 金属酸化物ナノ薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に設計・作製した金属酸化物ナノ薄膜チャネルセンサデバイスの知見を元に,集積化センサアレイデバイスの設計・作製および評価を行った.膜厚20nm,チャネルサイズ50平方um以下の酸化錫ナノ薄膜をチャネルとしたセンサデバイスを1チップ上に集積化したセンサチップを作製した.並行して複数のセンサデバイスをジュール自己加熱によって異なる温度で同時に駆動・分子計測可能な回路・システムを研究協力者と共に共同開発した.各センサに個別の電源を配置し,共通の抵抗値(電流)読み取り回路を高速に切り替えて計測することで,16個のセンサデバイスを同時にジュール自己加熱動作しつつ抵抗値計測を行えるアナログフロントエンド回路ボードを開発した.作製した集積化センサチップおよび回路ボードを用いて金属酸化物分子センサの主要な検出対象分子の1つである二酸化窒素の計測を試みたところ,各センサの温度(投入電力)の差に応じたセンサ応答を得た.個別センサデバイスの二酸化窒素に対するセンサ応答の温度依存性の計測結果と併せて結果を解析し,16個のセンサデバイスの動作温度を個別にジュール自己加熱で制御しつつ分子を計測することに成功した.並行してより低消費電力かつ小型化が可能なパルス電圧によるジュール自己加熱回路も共同開発を行い,パルス電圧によるセンサデバイスのジュール自己加熱温度制御を実現した.さらに,パルス電圧駆動による分子計測の実証にも成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた,(1)集積化センサチップの作製 および(2)集積化センサのジュール自己加熱駆動のための回路・システムの開発 をともに達成した.さらに,作製・開発したセンサチップと回路システムを用いた分子計測も実証したことから,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度はこれまでに開発した集積化分子センサチップおよび回路・システムを用いて実サンプル,すなわち生体ガスや食品揮発成分などの実用上有用な分子群の計測と識別に取り組む.ジュール自己加熱によって各センサの温度を変調することで,単一材料からなる集積化センサアレイによる分子群識別の実現を目指す.
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Research Products
(7 results)