2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Graphene-Based Transparent Antennas
Project/Area Number |
20H02209
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
黄 晋二 青山学院大学, 理工学部, 教授 (50323663)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 良介 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20398572)
渡辺 剛志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30803506)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グラフェン / 透明アンテナ / CVD |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度にはグラフェン透明アンテナの性能向上を図るために、CVDグラフェンの低抵抗化に取り組んだ。3層の積層転写技術と化学ドーピング技術を組み合わせ、単層CVDグラフェンにおいて 750Ω/sq であったシート抵抗を 80 Ω/sq まで低減させることに成功した。また、この3層積層グラフェンの光学的透過率は、化学ドーピング前後でほとんど変化せず90%以上であった。ドーピングによってキャリア密度を増大させても高い光学的透過率が維持されることはグラフェンの特異な物性に起因するものであり、他の透明導電膜には無いグラフェンの重要な利点である。次に、低抵抗化した3層ドープグラフェンを電極材料とする透明なモノポールアンテナを作製した。電波放射特性の評価を行ったところ、約10 GHzでの共振周波数での電波放射に成功した。作製した透明アンテナの放射効率について、同形状のAu製アンテナ(厚さ500 nm)と併せて評価したところ、Au製アンテナの放射効率が98%であったのに対し、グラフェン透明アンテナは約50%であった。グラフェン透明アンテナは、透明かつ厚さがわずか1nmであるにもかかわらず、厚さ500 nmかつ不透明なAu製のアンテナの約半分の放射効率が得られた。これはグラフェン透明アンテナの実用化という観点で重要な結果であると考えている。今回、3層積層と化学ドーピングを組み合わせて実現した低抵抗グラフェン膜を用いて、接地板付きモノポールアンテナの評価を通して透明アンテナの放射効率を正確に測定することができた。今後、更なる低抵抗化を図ることで、実用的なグラフェン透明アンテナを作製可能であることを示唆する結果であると考えている。、
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、3層積層と化学ドーピングによって低抵抗化したがグラフェンを用いた透明モノポールアンテナの動作実証、及び放射効率の評価を進めることができた。この結果は、グラフェン透明アンテナの実用化の可能性を示唆する重要な結果であったと考えている。また、グラフェンのシート抵抗と放射効率の相関に関してベースとなる重要な知見であり、今後の性能向上の基準として位置づけられる。以上から、2020年度にはグラフェン透明アンテナの性能向上に向けた基盤形成に成功したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、サファイア基板上に成膜した単結晶イリジウム薄膜を基板とする単結晶グラフェンのCVD成長に関して、その単結晶性の定量的な評価を進める。評価には、光電子分光を用いる。併せて、イリジウム上グラフェンの転写技術について検討を進め、単結晶性のグラフェン膜を透明アンテナへ応用するための技術確立を進める。また、これまで、イリジウム層はスパッタリング法を用いて成膜していたが、これに併せて、分子線エピタキシー法(MBE法)を用いた成膜技術についても検討を進め、より結晶性の高いイリジウムエピタキシャル膜を成長する技術の確立を目指す。一方、3層積層グラフェンの更なる低抵抗化を図るために、化学ドーピングの最適化、およびインターカレーションの導入などに取り組む予定である。
|
Research Products
(9 results)