2020 Fiscal Year Annual Research Report
次世代コンピューティング技術構築に向けた高速サブバンド間遷移不揮発メモリの開発
Project/Area Number |
20H02214
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
永瀬 成範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80399500)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 量子井戸 / トンネル現象 / 超高速情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、窒化ガリウム系共鳴トンネルダイオード(GaN系RTD)でのサブバンド間遷移現象を用いることで、ピコ秒オーダー動作の高速な不揮発メモリを実現することを目指している。本研究課題では、この実現のために、(1)Siデバイスや他の不揮発メモリとのハイブリット集積化を可能にする結晶成長技術と(2)ナノメートルオーダーまでのメモリ微細化技術を確立することを予定している。令和2年度は、(1)の結晶成長技術確立に向けて、GaN系RTDのMOVPE結晶成長技術の改善に取り組んだ。これまで、GaN系RTDのGaN/AlNヘテロ界面を形成する際には、バッファ層等の形成と同じく、窒素と水素による混合キャリアガスを用いてきたが、窒素のみのキャリアガスを用いることを検討した。その結果、GaN/AlNヘテロ界面で発生しやすいピット状の結晶欠陥が抑制され、より高品質な量子井戸構造を形成することに成功した。また、この改善により、従来よりも20倍以上高いON/OFF比(>600)の不揮発メモリ動作を実現した。これより、本不揮発メモリ動作が、結晶欠陥起因ではなく、量子井戸でのサブバンド間遷移と電子蓄積効果に起因することを支持する重要な結果を得ることに成功した。また、(2)のメモリ微細化技術確立に向けて、プロセス要素技術の開発を行った。新型コロナウィルスの影響により、所属機関の方針による出勤制限があったために、令和3年度への繰り越しを行ったが、令和3年度中には、当初予定していた実験計画をほぼ遂行した。一方で、出勤制限によって実験を遂行できなかった期間には、不揮発メモリ特性向上のための新たなシミュレーション技術の構築に取り組み、その結果、低電圧動作化に向けたGaN系RTDの設計指針を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、所属機関の方針による出勤制限があったために、令和3年度への繰り越しを行ったが、令和3年度中には、当初予定していた実験計画をほぼ遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で新たに開発した窒素キャリアガスを用いた低欠陥ヘテロ界面形成技術を用いて、Si(111)基板上へのGaN系RTDの作製と不揮発メモリ動作の実現を目指すとともに、不揮発メモリ微細化に向けたプロセス技術開発を行う。
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Research Products
(2 results)