2020 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性LSIの開発コスト削減に向けたソフトエラー耐性スクリーニングの実現
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20H02217
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
小林 大輔 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90415894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 高紘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員(定常) (80549668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 品質管理 / 機器・人間の信頼性 / 放射線 / リスク評価 / 電子デバイス・集積回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、LSIチップが放射線に反応して誤動作する「ソフトエラー」について、大量一括生産でLSIチップを作った後に、個々のチップについてソフトエラー耐性の良し悪しを検査して、要求未達のチップを市場に出る前に取り除くことを目指している。これまでに我々は、放射線に弱いLSIであるSRAMについて、SRAMが持つ「データ保持電圧」という電気的に測定できるパラメータが、本来放射線を使わなければ測れないソフトエラー耐性と良い相関があることを発見しており、今年度はその相関について詳しく理解することを目指した。その結果、まず、ソフトエラー耐性を表す様々なパラメータがSRAMのデザインとどう関係して変化してきたかを明らかにした。本研究に先立って文献調査してきたものであり、本年度、これを整理しながら詳しく論じ、IEEE Transactions on Nuclear Scienceに投稿し、査読を経て掲載された。次に、この成果に基づいて、前記相関の数理モデルを開発した。具体的には、ソフトエラー耐性を表すパラメータの一つであるソフトエラー断面積(SRAMセルのうち放射線が当たるとソフトエラーを起こす領域の面積)とデータ保持電圧の相関を数式で記述した。放射線やSRAMの特徴パラメータからなる新しい式であり、全てのパラメータが物理的に意味づけされている点に特徴がある。この内容を国際会議IEEE Nuclear and Space Radiation Effects Conferenceに投稿した(本様式作成中に採択された)。こういった理論的な研究と平行して、放射線照射装置やレーザー照射装置の改良を行った。特にレーザー照射装置については、先行研究を参考に疑似ベッセルビームを導入し、重イオン放射線効果の再現性などを明らかにした。この成果は応用物理学会で発表し、東京大学修士論文として提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響と予期せぬ装置故障への対応で実験は遅れているが、理論的な研究が当初予想より進んでそれを補うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射装置やレーザー照射装置の改良を引き続き行い、実験により数理モデルの確からしさを検証する。なお、新型コロナウイルスの影響により実験がままならない状況について、半導体デバイスシミュレーターで補うことで対応する。
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