2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of fiber orientation and failure analysis of full scale ultra-high-strength fiber reinforced concrete members
Project/Area Number |
20H02220
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
内田 裕市 岐阜大学, 工学部, 教授 (20213449)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超高強度繊維補強コンクリート / 繊維の配向 / 引張軟化特性 / X線CT / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1200×1200×100mmのスラブ試験体を対象として超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を斜めシュートを用いて試験体中央と型枠端から打ち込んだ場合の繊維の配向をX線CTにより観察した。その結果,スラブの上部では打込み位置を中心とした同心円状に繊維は配向するが,下部では一方向に配向することが観察された。上下部で配向が異なる原因を明らかにするため,可視化コンクリートを用いた配向の観察を行った。その結果,打込み方法(斜めシュートと円形パイプ)によって配向が異なり,斜めシュートを用いた場合には実際のUFCの場合と同様,下部では一方向に配向することが観察され,円形パイプを用いた場合には上下部とも同心円状に配向することが観察された。以上のことより,繊維の配向に対して打込み方法が影響することが明らかとなった。 実大規模の長さ2695mm,幅1200mm,厚さ130mmのスラブにI型の突起(最深部の深さ260mm)を設けた試験体を対象として,長手方向の片端からUFCを打ち込んだ場合の繊維の配向を観察した。その結果,突起内部では型枠に沿ってコンクリートの流動方向に配向し,試験体の上部では梁状型枠における繊維の配向と同様に,コンクリートの流動方向に対して斜め上方に配向することが観察された。可視化コンクリートを用いた配向の観察も行い,実際のUFCの配向と概ね一致すことが示された。 ひび割れ面のせん断強度に対する繊維の配向の影響を検討するために,一軸圧縮試験および梁供体を用いた直接せん断試験を行った。一軸圧縮試験では,ひび割れ面に対する繊維の交差角度が100°を越えるとせん断強度が低下し,直接せん断試験では,繊維の交差角度が60°~80°の範囲でせん断強度が高くなり,せん断強度に対して繊維の配向が影響すること示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繊維の配向と引張軟化特性の関係については既にデータを取得し,現在解析中である。さらに2020年度はせん断強度特性についても検討をしており,配向を考慮した構成則に関する検討はほぼ順調に進んでいる。 実大試験体の繊維の配向について,スラブについては配向の観察を終えておりほぼ計画どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も実大UFC部材中の繊維の配向と部材耐力について検討する。 実大試験体として,スラブ試験体と梁試験体を対象として,コンクリート製品工場において,打込み方法をパラメータ(試験体の片端から打ち込む場合と試験体中央から打ち込む場合)として試験体を製作する。また,実際のUFC部材を模擬した複雑な形状の試験体を昨年度製作しており,これについても試験の対象とする。 これらの試験体について載荷試験を行い破壊耐力を確認する。載荷試験後,破壊断面付近からコア供試体を抜き取り,X線CTシステムにより繊維の配向(本数,位置,配向方向)を計測する。得られた結果より,試験体ごとにコンクリートの打込み方法と繊維の配向の関係,ならびに繊維の配向と部材の破壊耐力の関係について検討する。 さらに,可視化コンクリートを用いて,上記試験体における繊維の配向を観察し,その結果とX線CTシステムによる観察結果を比較検討することで,可視化コンクリートによる繊維の配向の観察の妥当性と有効性の確認を行う。 配向が明らかとなった試験体を対象として,配向を考慮した構成則を構築し,FEM解析に組み込み,試験体の破壊挙動のシミュレーションを行い実験結果との比較検討を行う。
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