2020 Fiscal Year Annual Research Report
Seismic capacity of tower-like secondary structures standing on elevated viaducts and vision-based measurement of vibration characteristics of viaduct-tower structure systems
Project/Area Number |
20H02231
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤野 陽三 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 名誉教授 (20111560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 洋 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10636434)
伊山 潤 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30282495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 構造工学 / 地震工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1995年1月17日兵庫県南部地震や2011.3.11東北地方太平洋沖地震でも高架橋上の塔状付属物に多大の被害があったが,都市内高架橋の照明柱や標識柱などの塔状付属物の地震安全性の評価法,対策が全く未着手の状態である.そこで本研究では 1.)照明柱を主たる対象に,その終局耐震性能を実験と解析により明らかにする.2.)都市内高速高架橋-付属物(照明柱・標識柱)の地震時連成解析をケーススタディ的に実施する.3.)1)において判明された耐震性能を踏まえ,耐震補強が必要になる照明柱,標識柱の条件を明らかにするが,高架橋との共振が,低い減衰の付属物を損傷倒壊させることに鑑み,補強が必要な照明柱を高架橋の固有振動数から決定する手法を開発し,4)遠隔非接触計測による動画像解析から高架橋の固有振動数を同定できる手法を確立させ,5)塔状付属物の合理的かつ効率的な耐震補強指針を作成する.ことを目的としている. 【初年度であるR2年度研究実績】代表的な照明柱を選び,実物を対象として,地震時を想定して繰り返し載荷の下で非弾性挙動を入念に調べた.その結果,テーパー部でひずみが集中し局部変形が進行することが明らかになった.このような実物大を用いた照明柱の実験は世界で初めてであり非常に有用な知見が得られた. 実験結果を再現するための有限要素解析を用いた解析的検討を開始した.それに先立ち照明柱の鋼材の要素実験(応力ひずみ曲線)を実施し,有限要素解析に必要な基礎材料資料を得た. 一方,照明柱の動特性を非接触で把握するための,ビデオ画像による振動位相拡大法を用いた振動抽出技術を構築した.横浜市の金港ジャンクションにおける照明柱に適用しその精度を確認した.この方法は遠距離でも振動する物体の状況を把握できるもので,斜張橋ケーブルの固有振動特性の把握にも使えることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はコロナ感染症の問題が起こる前で順調な研究を行うことができた.具体的には,照明柱の実物で実験しその力学特性を明らかにすることができた.地震時にはテーパー上端部での局部変形が進行するというモードが卓越することが明らかになった.これは極めて大きな知見であった.実験は2019年度にほぼ終わったが,2020年度に入りコロナの影響を少し受けることになった.実験はほぼ終わっており解析の方にシフトしていたのでそれほど大きな影響はでなかったが,現地調査の日程遅れ,屋外実験の延期などがあった.解析においては研究分担者田村洋氏,研究協力者のシリンゴリンゴ・ディオン氏の協力を得て有限要素モデルの構築を進めた.ビデオによる照明柱の振動解析については屋内実験を重ねまた横浜市内の首都高速道と高架橋上の照明柱を実際に適用し,正確な振動情報を得られることがわかった.これらもコロナの影響を受けて実験や実測が行いにくい状況があり少し遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
1)照明柱の振動実験ならびに耐震性能に関する耐荷力実験の結果のとりまとめ (担当:藤野,田村(分担者),矢部(横浜国大客員教授,協力者),Dion(横浜国大特任准教授,協力者))代表的なタイプを繰り返し載荷下での実物大実験をとりまとめ,論文としてまとめる.また,FEM解析による非線形挙動の再現性の検討を行う(担当:田村,藤野)2)高架橋―付属物(照明柱・標識柱)の地震時連成解析(継続)(担当:藤野,矢部,Dion)都市内高速高架橋において最も典型的な,a)門型橋脚ならびにT型橋脚を有する直線部,b)過去に照明柱に地震時被害があった箇所,c)曲線部を対象に,高架橋―付属物蓮成構造モデルを構築し,非線形領域も対象に地震応答解析を継続する.あわせて構造物付属系の簡易二自由度系モデルを構築し,前出の連成モデルとの等価性条件を検討する.3)画像による振動数検出モニタリング関する基礎的検討(継続)(担当:藤野,Dion)引き続き行っている,高精度ビデオカメラ(Sony製)ならびに高精度カメラ(Nikon製)を用い,室内実験において小型模型振動実験を行い,対象物との距離,背景,カメラそのものの振動など様々な条件の下で実験を継続し,結果をまとめ,論文として国際誌に投稿する.
照明柱の実物大実験については実験結果を取りまとめ論文として鋼構造シンポジウムに発表するとともに土木学会論文集の投稿の準備を進める.有限要素解析については現在進行中であり,その結果を論文としてまとめる予定である.高架橋―付属物の地震時連成解析モデルを構築し,実際の照明中の地震時挙動を正確に予測する解析についてはそのモデル化を現在進めており,来年度中には成果としてまとまる予定である.ビデオ画像による照明柱をはじめ振動物体の正常把握については研究もほぼ完成した状況にあるので論文として近々まとめられる予定である.
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