2022 Fiscal Year Annual Research Report
Real-time precise monitoring of strain accumulation process around Nankai Trough
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20H02236
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
有吉 慶介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー (20436075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 祐弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 副主任研究員 (10770670)
永野 憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 主任研究員 (40421888)
松本 浩幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 主任研究員 (80360759)
宮澤 泰正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), ラボ所長代理 (90399577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スロースリップイベント / 黒潮大蛇行 / 海底地殻変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の最大の成果として、余効すべり伝播過程の理論を発展させて、超低周波地震および低周波微動の移動現象について速度状態摩擦構成則に基づき、移動速度を摩擦特性および応力降下量の関数として記述することに成功した。その結果、超低周波地震の応力降下量は1MPaよりもはるかに小さいことを示した他、特徴的すべ量の範囲を推定することに成功した。これらの結果は岩石実験とは独立したものであり、米国地球物理学会にて "Read the paper with the author in Seismology" にて掲載論文がハイライトされるなど高く評価された。 もう一つの主要な成果として、2021年に論文で実証した、熊野灘の海底下に埋設された(孔内観測)間隙圧から地殻変動成分を高精度で抽出する手法について、リアルタイム解析の実装を行った。その結果、2023年3月に発生したスロースリップイベントについて、開始から1日後に検知することに成功し、超低周波地震が予想通り発生するなど、小規模ながらも、科研費の課題である歪蓄積・解放の過程を精密に捉えることを実データで立証した。 他にも、ウェーブグライダーに湿度センサーを防水加工した上で搭載し、世界初となる洋上における熱フラックスの推定に成功した。 これらの成果について、査読付き学術誌に発表すると共に国際学会・WSおよび海外研究機関のセミナーにて紹介し、テキサス大学との国際共同研究に結び付いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年3月に発生したスロースリップイベントについては、気象庁および地震調査委員会にて速報で伝えることができた。翌月開催された月定例会において断層モデルを提唱するなど、解析時間の大幅な短縮化を図ると共に、社会への情報発信として貢献することが出来た。 また、ウェーブグライダーに独自に防水加工した湿度計を搭載した観測も成功し、論文化したことや、海洋モデルJCOPEの開発も進んでいることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年3月に発生したスロースリップイベントについて論文化を進めると共に、過去のスロースリップイベントと黒潮蛇行との関係についても明らかにする。 間隙圧の解析については、2024年1月に設置される新規観測点のリアルタイム解析の実装および海洋モデルに基づく海洋擾乱の定量評価を行う予定である。
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