2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method to evaluate permeability of rock using barometric fluctuation
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20H02238
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長田 昌彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00214114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 貴人 日本大学, 文理学部, 教授 (30359591)
富樫 陽太 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90753294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岩盤の浸透特性 / 大気圧変動 / 間隙空気圧 / モンテリ地下研究所 / オパリナスクレイ / 時系列解析 / 岩盤の熱伝導特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も,原位置データの解析と室内実験を継続して実施した. 原位置データについては,相対湿度の観測データから,深い位置にセンサを埋設した空間内の湿度は,1年以上かけてようやく相対湿度100%に近づいたことが観測され,その到達時間はトンネルからの深度に依存し,深い方がより遅れることがわかった.このことは,埋め戻し後に地下水が戻ってくることを想定している地層処分事業において,有意義な情報となる可能性がある.これを踏まえて,間隙水中の塩濃度の相対湿度に与える影響は大きくないことがわかった. また,モンテリ地下研究所の地上部とトンネル内部の気圧の変化を比較した.その結果,トンネル入口に設置されている開閉扉の影響と思われる気圧変動が観測された.岩盤全体としての気圧応答の違いは認められなかったが,現在のところ唯一現地で位相のずれと振幅減衰が観測されているセンサの値だけは扉の開閉によると思われる気圧変動の影響を全く受けておらず,センサの故障も視野に検討する必要があると考えられた. 室内実験では,真空コントローラを用いて周期的な気圧変動を強制的に与える試験を実施した.周期を2分,4分,8分と変化させ,岩石ブロック内部での気圧応答を観測した.その結果,明瞭な位相のずれが観測されること,振幅減衰の大きさは与えた周期に依存することがわかった.また飽和度を変化させて同じ実験を実施したところ,大気圧から周期的な気圧変動の中央値に至るまでの過渡的な挙動が,飽和度に依存して変化していることがわかった.これは,岩石の透水試験で用いられるトランジェントパルス法と似た現象であり,この方法を用いて岩盤の浸透特性の評価を試みることとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大のため, 2年連続でスイス・モンテリ地下研究所にて予定していた現地作業が実施できなかったが,国内サイト(吉見百穴)にて,機器開発を進めることができた.これにより,当初予定していた水分量変化把握のためのひずみ計測は,IoTセンサである水分量センサを用いることで,取得可能であることがわかった.またロックダウンしたとしても現地計測データが取得可能なように,WIFIを用いたデータ取得方法に切り替える準備を進めることができた.
以上より,海外での作業は進まなかったものの,その準備を十分にすることができたため,概ね順調と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度こそスイスでの現地作業ができることを期待しているが,再度渡航が禁止される恐れもある.そこで,2022年度には国内の地層処分研究施設である幌延深地層研究センターにおいて,スイス・モンテリ地下研究所で実施している計測を進化させた現地観測ができるように準備を進めることとした.岩石が比較的透水性が高い岩石となるので,これまで室内実験で得られたノウハウをうまく利用する. 室内実験としては,2022年度には計測装置を改良し,周期を大きくした実験を行う.これにより,実際の大気圧変動に対して,どのパラメータが効いているのかを定量的に明らかにする.また完全な飽和状態から不飽和に至る過程を実験室内で再現するために,製作した飽和養生装置を用いて現地と同様に位相のずれが開始されるかを再現する.この結果が良好であれば,原位置においても計測初期に,自然の大気圧の値から少しずれた値を負荷して,回復段階のデータを計測することにより,迅速に岩盤の浸透特性を把握することができる可能性がある.これに続いて,自然の大気圧変動に対する挙動をモニタリングすることで,長期的な浸透性の変化傾向が把握できることが期待される.
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