2020 Fiscal Year Annual Research Report
波浪観測データ解析における未解決問題の解法の提案とその適用性に関する研究
Project/Area Number |
20H02259
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 典明 九州大学, 工学研究院, 教授 (90371749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 峻 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (10735004)
川口 浩二 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (50371753)
横田 雅紀 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (60432861)
井手 喜彦 九州大学, 工学研究院, 助教 (60866680)
山城 賢 九州大学, 工学研究院, 教授 (70336014)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 波浪 / 波浪観測 / 方向スペクトル / 水圧変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)【既往の気象・海象データの収集・整理・解析】 国土交通省の全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)で蓄積された膨大な波浪観測データの中から,様々な気象擾乱時のデータを網羅的に調査し,多種多様なデータを収集した.また,収集した波浪観測データ期間に対応する気象データを収集・整理・解析し,沿岸域の波浪の出現特性と気象との関連性を検討して,(2)で実施した現地観測の場所と期間を決定した. (2)【沿岸長周期波の出現特性の解明を目的とした方向スペクトルの現地観測】 波浪観測地点はうねりが卓越する太平洋側のNOWPHAS観測地点とし,特に荒波浪時にうねりや長周期波の観測が可能な地点と期間とをNOWPHAS観測データを用いて検討した結果,鹿島港沖と決定した. なお,NOWPHASでは沖波情報の観測を主目的としており,観測は一定程度以上深い場所で実施され,標準的観測装置として超音波ドップラー式海象計(DWM)を用いている.そこで本研究では,DWMと同等の機能を有する観測機器としてドップラー式流速計(ADCP)を3台,さらに荒波浪時にも波浪情報の測得が可能な水圧式波高計(PW)を3台使用して,NOWPHAS観測地点の周辺に設置して約2ヶ月間の波浪観測を実施した. (3)【超音波ドップラー式海象計で観測された水粒子速度成分の特性解析】 NOWPHASで使用しているDWMの水粒子速度成分の特性を検討した.検討に際しては,各層の水粒子速度成分の特性を解析・検討し,高精度かつ安定性の高い方向スペクトルの推定に必要な新しい伝達関数を提案するとともに,その特性を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実施か危ぶまれた鹿島港沖における現地観測を当初の計画通りに実施した.また,2か月間の現地観測期間中には高波浪時も含まれており,本研究に必要な波浪観測データが測得できた.さらに,現地観測データを使用して推定した新しい伝達観測の検討が進み,当初の目的であった高精度かつ安定性が高い方向スペクトルが推定可能になった.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)【現地観測データの整理・解析】 令和2年度に鹿島港の海象計(DWM)の設置位置周辺に3台の水圧式波高計(PW)および3台の超音波ドップラー式流速計(ADCP)を用いて2ヶ月に渡る現地観測を実施した.令和3年度は,これらの観測データを解析・検討する.検討に際しては観測された時系列データのノイズの影響を評価する.また,荒波浪時には設置した機器が移動したり,傾いたりするトラブルが発生する可能性があることから,それらの事象の発生の有無をデータ解析を通して調査する. (2)【海象計の新しい伝達関数を用いた方向スペクトルの推定精度の検討】 現在のDWMでは微小振幅波理論で導かれた伝達関数を利用して方向スペクトルを推定している.本研究では,令和2年度に観測データから伝達関数を推定する方法を開発した.そこで令和3年度は,新しい伝達関数を用いて方向スペクトル解析を行い,それらの推定精度と安定性を評価する. (3)【水圧変動から水位変動を推定する方法の開発と観測データへの適用】 現地観測データを用いてスペクトルとバイスペクトル解析を実施する.次に,スペクトルとバイスペクトルの誤差の影響を考慮し,水圧変動のバイスペクトルを用いて水圧変動から水位変動を推定可能な方法を検討・開発する.さらに本方法を現地観測データに適用し,本方法の推定精度と安定性を評価する.
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Research Products
(4 results)