2021 Fiscal Year Annual Research Report
Smart Urban Degeneration by Learning from Biomimetics
Project/Area Number |
20H02265
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村木 美貴 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (00291352)
和田 健太郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20706957)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市退化 / バイオミメティックス / エネルギー / モビリティ / アーバンフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究実績として、都市退化マネジメントの基礎から応用に向かって当初の目的に添って研究を進捗させるとともに、COVID-19の感染拡大に伴う社会状況の変化も勘案した新たな研究についても展開を行うことができた。 まず、全国の市町村における広範な統計データを横断的に解析することにより、バイオミメティックスの観点から、わが国の都市の「老い」がどのように進展しているのかを体系的に解析した。この結果、人口減少・少子高齢化に伴う都市問題進行過程をパターン化することが可能となった。あわせて、買い物などにおける個人の嗜好の変化をレトロスペクティブ調査に基づいて長期的に把握し、都市の体質変化との関連性について言及している。特に長期的な変化を俯瞰的に把握するための、時代・年代・世代に着目した分析方法であるタテ・ヨコ・ナナメ法を新たに提案し、見える化を通じた検討を進めることができた。 また、COVID-19の感染拡大を通じてオンライン化が進展し、都市での活動のあり方自体が変化してきていることにも考慮して退化マネジメントの方向性を定める必要があることを示した。具体的には、ライフスタイルごとの生活時間の使い方の変化を定量的に解析し、ジェンダーギャップの存在とその解消状況を見るとともに、都市空間の使い方との関連性を整理した。自動運転などのイノベーション導入に伴う移動中の活動変化も含め、より良い暮らしにつながるスマートな退化マネジメント方策が求められることを提示した。 さらに、人口減少の中でも退化マネジメントを自律的に機能させ、傷んだ関係性を治癒させるため、人と人のつながりから成る「関係人口」に着目し、その実態と人のつながりから見る地域間結束度の計測方法を新たに提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記載した通り、本研究課題に対して多数の審査付き論文を公表することができたことが、研究がおおむね順調に進展していることを示す明確なエビデンスである。 公表した審査付き論文の内容からもわかるとおり、当初の目的であった地域システムの「診断」「自律」「治癒」といったキーワードを幅広く内包した成果となっており、研究期間の2年目を終える段階となって、目標とすべき都市退化マネジメントの全体像がほぼ見えてきつつある状況にある。あわせてCOVID-19感染拡大に伴う社会状況変化にも柔軟に対応する形で分析を加えており、社会の変化の速さにも対応することができている。 なお、分析結果が明らかになるにつれ、わが国の各地域がおかれている状況は当初の予想以上に厳しいもの(=老化の進捗が著しく、またその流れを止めるのは容易ではない)であることも各成果で示されている。最終年度に向けて、さらに自律性の高い治癒方策をさぐっていくことが求められていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの取り組みで明らかになった課題は、コンパクトシティ化政策などの浸透である程度都市の退化マネジメントの導入可能性が高まっていたのに、COVID-19の感染拡大に伴い、過剰に都市の密度が怖れられるようになり、退化とは逆方向の発散傾向にアクセルがかかってしまったことである。これはバイオミメティックスの観点にたてば、都市の成人病罹患を促進し、老化を早めてしまうことに他ならない。このため、適切な退化マネジメントを行ううえで、都市居住の分散化傾向について明確に把握し、その発生要因を詳らかにしておく必要がある。 さらにCOVID-19の感染拡大を契機に、郊外においても徒歩により15分以内で必要な生活サービスにアクセスできる15-minute cityの必要性が海外の都市計画で指摘されるようになっている。一方で、わが国においては都市退化マネジメントの一手法として立地適正化計画が導入され、生活拠点的な扱いとして都市機能誘導地区が指定されている。そもそもこの両者がどの程度実質的な内容として一致しているのか、また異なるとすれば目指す将来像に向けてその双方をどのようにマネジメントしていくべきかについて、本課題の重要な成果の一つとして明示的に提示する必要がある。 さらにバイオミメティックスの観点から地域を自律的に治癒していく上で、市民一人一人の社会参加につなげていく必要がある。その方向性を示すため、個々に性格の異なる様々な社会貢献行為において、長期的な時代の変化も要因として考慮した参加要因分析を実施する。この検討の中には地域での伝統行事を通じた参加行動のマネジメントや、個人の健康意識にはたらきかける健康まちづくりなど、アーバン・フレイルに陥らないための諸方策のあり方についてもあわせて客観的な分析に基づく具体的方策を提示する。
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Research Products
(12 results)