2020 Fiscal Year Annual Research Report
携帯電話位置情報の時系列変動分解に基づく災害レジリエンスの観測・評価手法の開拓
Project/Area Number |
20H02270
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 裕通 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (10786031)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
塩崎 由人 金沢大学, 地球社会基盤学系, 研究協力員 (00824921)
水谷 大二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (30813414)
中山 晶一朗 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (90334755)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 災害レジリエンス / 携帯電話位置情報データ / 時系列モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度+繰り越し分の2021年度においては,当初の計画通りに以下の研究を遂行した: ・ 近距離行動の異常(災害レジリエンス)を観測・検知するモデルを開発 ・ 既往研究のレビューを実施し,災害レジリエンスの概念整理を行った ・ 2014-2020年までの災害データを購入して,部分的な回復過程の解析をスタートした ただし,新型コロナウイルス感染症の影響により,東京オリンピック等の解析を予定していた事象が2020年のデータのみでは分析できなくなった.さらに,新型コロナウイルスで観測される行動の回復過程は,本研究で開発するモデルを適用して得られる情報として,社会的ニーズも高いものと判断して交付申請の時点で本研究の一環として実施することを決定した.しかし,当初の想定より短期間では行動変化が完結せずに,回復過程の解析にはより長期のデータ入手が必要となった.そのため,研究費の繰り越しをおこない2021年度を含むデータで分析を行った. その結果,概念整理に相当するパートと災害時の移動行動変化を解析した論文を公開するとともに,行動変化を検出するために必要な複数の時系列モデルについて基本モデルの開発をおおむね完了した.このモデルでは,混合ガウスモデルと時系列モデルを組み合わせたものであり,連休等を扱う時系列モデルにさらなる改良が必要であるものの,入力した移動行動の時系列データから災害等の「異常変動」を自動的に抽出するものであり,回復過程の全体を自動的に抽出することができる.モデルの開発成果については複数の学会発表を行っており,2022年度の論文化を目指す.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症による行動変化データの解析を研究項目に追加したために,複数の緊急事態宣言等の回復過程全体を把握するデータを入手するために研究費の繰り越しが必要となり,そのために一部の解析を延期しながら解析を実施してきた.しかし,レジリエンスの概念整理は予定通り進展しており,さらにモデル開発の点では,当初想定していたより大規模なサンプルの解析ができており,課題の発見・整理も含めて,当初予定した成果を出すことに成功している. また,新型コロナウイルス感染症による人々の行動変化についても,速報論文を含めて複数の査読付き論文を公開しており,当初の研究予定になかった事象の解析ではあるものの,行動の時系列変化から回復過程を抽出・評価するアプローチを提案する本研究の重要性を再確認しつつ,必要な解析を遂行することに成功している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,開発したモデルのさらなる改良と,より多くのデータに適用した災害レジリエンスの観測結果の取りまとめを行っていく.なお,これまでの分析で実施してきた通り,行動変化と回復過程を分析するにあたって,新型コロナウイルスによる行動自粛要請に対する反応等は,本研究のアイディアが有効である可能性が高く,引き続き解析を進めていく.現時点で,新型コロナウイルスの回復過程全体を観測するためには2021年度までのデータでは不足することが明らかになっており,2021年度の研究費の一部をくりこして,2022年度も含んだデータを用いた解析を実施する.それに加えて,災害による新幹線の運休事象(熊本地震,東日本豪雨,2022年3月の福島県沖地震)などにおける回復過程などの分析を実施することで,回復過程の視点から災害事象をとらえた研究を遂行していく.
|
Research Products
(7 results)