2020 Fiscal Year Annual Research Report
Planning Methodology for Integration of the Mobility Services in Rural Areas
Project/Area Number |
20H02276
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷本 圭志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (20304199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長曽我部 まどか 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50757268)
桑野 将司 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70432680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モビリティ / 生活交通 / 中山間地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合を進めている先進地域として,鳥取県大山町がある.この町では貨客混載を導入するための意見交換を以前より実施していたが,2020年11月より実証事業を開始するに至った.これに伴い,運行の実績をデータとして蓄積する取り組みを開始した.貨物と旅客に関する需要パターンについては十分なデータが得られた後に分析する予定である.また,小規模な旅客運送サービスへの転換に際する利用者の反応を調査するために,琴浦町でタクシー事業への転換を目指していることに着目した.本町での検討委員会に研究代表者が参加しているため,夏季にアンケート調査を行い,転換前におけるデータを収集した.ただし,タクシー事業への転換が必ずしも保証されているわけではないため,必要に応じて今後,同様の検討をしている他の地域についても調査をする必要がある.
車両や運転手の制約(量,営業時間,労働時間など)を明示的に取り入れ,資源の運用計画を数理最適化手法によりモデル化し,効率的な運用と,需要と供給のバランスを分析するための手法の構築に着手した.具体的には,これまでに得ているタクシーの運行履歴データを用いて,このデータを使って混合整数計画問題として定式化した.その際,乗り合い制の導入や,運送する時刻の変更を顧客に要請するなどの運用も含めたいくつかの派生モデルを検討した.これらのモデルについては,単に最適な運用を導出するのではなく,事業者の供給能力を定量的に明らかにするためのモデルという位置づけで開発を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会実験に至ったフィールドがある一方で,そこまでには至らなかったフィールドもある.しかし,コロナ感染症が流行している中で一定の調査を終えることはできており,当初の予定に沿って進めることができた.また,資源の運用計画のモデル化についても順調に進んでおり,最も基礎的なモデルは学会で口頭発表を行うとともに,現在,査読付き論文に投稿中である.モデルの派生についても順調に検討が進んでいる.さらに,これらのモデルを通常の最適化モデルと位置付けるのではなく,事業者の供給能力を定量的に評価するために活用できることを見出しており,供給能力という視点に基づいて統合の可能性を容易に判断しうるとの確証を得ており,当初の予定を超えて進捗することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
調査については最低限のデータを得ることができた.一方で,今後,本研究の趣旨に合致した展開がフィールドで進んでいかないことも予期されるため,引き続き,別のフィールドでの調査を想定することに加え,モバイルデータなどで補完することも検討することとした.これに伴い,モバイルデータを用いて人の流れを解析することも必要になる可能性がある.モデル化については順調に進んでいるものの,当初に想定していた以上に計算の負荷が大きく,特に,乗り合いを想定したモデルでは大きい.このため,高性能のパソコンならびにソフトウェアが追加的に必要となる可能性もあり,この点について改めて検討が必要である.別のアプローチによるモデル化も検討に値するものの,まずは最適解が保証される既存のアプローチで検討を進める.また,事業者の供給能力を定量的に把握することにモデルが活用できることを見出しており,これにより,旅客やそれ以外のサービスの需要が供給能力を超過しなければ統合的なサービスの供給が可能であるという視点で統合の可能性を評価しうることが明らかになった.今後は,この視点に基づき,供給能力を定量的に評価することに重点を置いて検討を進めていく.
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