2020 Fiscal Year Annual Research Report
宿主特異的ウイルス遺伝子マーカー群の検出に基づく水環境中の糞便汚染評価法の構築
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20H02284
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 正章 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30777967)
端 昭彦 富山県立大学, 工学部, 講師 (70726306)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウイルス / ファージ / 糞便汚染源解析 / 公共用水域 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,水環境中の糞便汚染源解析に有効となり得るウイルス遺伝子マーカーとして,体表面吸着大腸菌ファージに着目し,2020年9月~2021年1月に採水調査を実施すると共に,2019年10月~2020年1月に採取したアーカイブ試料も活用することで,水環境中における存在実態を調査した。 下水処理場の流入水(18試料)と2次処理水(18試料),放流水(15試料),豚舎排水(2試料)および河川水(4地点,38試料)を対象に,大腸菌WG5を宿主に用いたプラック法によって体表面吸着大腸菌ファージを培養して定量し,1試料あたり最大16個のプラックを単離した。プラック単離株に対し,マイクロウイルス科に特異的なリアルタイムPCR法に供した後,マイクロウイルス科陽性と判定された単離株について,PhiX174マイクロウイルス属に特異的な定性PCRとダイレクトシーケンシングを用いた系統解析を実施した。 体表面吸着大腸菌ファージは,すべての下水と豚舎排水試料から検出され,河川水からの陽性率も89%(34/38)と高い値であった。下水流入水中のファージ濃度は1,500~27,000 PFU/mLであり,豚舎排水中の濃度(3,600~29,000 PFU/mL)と同程度であり,ヒトとブタのいずれからも高濃度で排出されていることが確認された。また,プラック単離株を用いた解析では,マイクロウイルス科およびPhiX174マイクロウイルス属のいずれも下水と豚舎排水の両方から検出されており,これらの検出に基づくのみでは糞便汚染源は判別できないことが分かった。一方,PhiX174マイクロウイルス属を対象とした系統解析により,ヒト・ブタ由来の単離株が混在する遺伝子群と,ブタ由来の単離株のみで構成される遺伝子群に大別され,ブタ糞便特異的な糞便汚染源解析が可能となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下水,豚舎排水および河川水における体表面吸着大腸菌ファージの定量的な存在実態に加え,細分化したマイクロウイルス科,Phix174マイクロウイルス属およびその遺伝子群の存在実態に関する知見を得ることができ,宿主特異的ウイルス遺伝子マーカーとしての体表面吸着大腸菌ファージの有効性を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,体表面吸着大腸菌ファージに加え,他のウイルス遺伝子マーカーに関する検討に取り組む予定である。また,微生物遺伝子マーカーに求められる要件として,宿主特異性の高さに加えて,水環境中での残存性の高さも重要であることから,ファージを中心に水環境中での残存性に関する検討を実施する予定である。
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Research Products
(6 results)