2021 Fiscal Year Annual Research Report
International comparative study on nitrogen flows and environmental pollutions among rapidly-growing Asian countries
Project/Area Number |
20H02285
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
西田 継 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70293438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 忠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60431392)
中村 高志 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60538057)
亀井 樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80792168)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒素循環 / 開発段階 / 都市 / 農業 / 地下水 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会構造とともに変化する窒素汚染の仕組みを明らかにする。21年度は、1)データ収集のための現地調査、2)窒素循環モデルによる窒素フロー解析、3)同位体等のトレーサー解析、4)微生物の遺伝子解析 、5)環境への窒素負荷量の評価と対策の検討の5段階で進める計画であった。2019年12月に始まった世界的流行病の影響を受けて、初年度2020年の計画を12ヶ月延長し、2021年度の前半は現地調査等の日程の再調整に充てることとし、その間、前年度に引き続き、国内で対応できる実験やモデル解析の作業を並行して進めるつもりであったが、上記の影響が長期化したことから国内での活動に集中することとした。 1)と3)については、過去に山梨県とネパールとベトナムで取得した地下水等の試料の分析を行った。ネパールのカトマンズ盆地においては、地下水そのものと、地下水と関連する水源から供給される公共水道の水および硝酸イオンの安定同位体比を雨季と乾季で比較できるように整備した。これにより、地下水を直接採取することが困難な場合でも、水道水を活用して窒素汚染の調査を進めることができる可能性を見出した。また、1)に関係して、日本における全国規模の地下水窒素濃度の二次データの収集を行い、約半数の都道府県のデータをデジタル化した。データを統計学的に整理した結果、全国的に明らかな長期傾向は硝酸濃度では認められず、都市活動や農業活動の展開程度が異なると想定される地域間で硝酸濃度が特徴的な差を持って分布する場合があることがわかった。 2)については、山梨県およびベトナムの農業地域で取得した一次データを用いて、主として水田に焦点を当てた窒素循環モデルの第1版を作成した。これにより、特に水稲栽培が盛んなアジア地域において、施肥や水管理等の農業活動と生物学的・非生物学的な自然作用の影響下で窒素フローを定量的に追跡する可能性を広げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的流行病の影響で国外の現地調査が全く実施できなかった。その結果、窒素汚染の国際比較に必要な水試料を新たに取得することができず、トレーサー解析と微生物解析を計画通りに進めることができなくなった。本年度後半に全体計画の見直しを行うことを決め、そのチーム内での調整にも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に若干の方向修正を加え、1)基礎データ収集(現地調査が十分実施できないことも考慮)、2) 窒素発生負荷量の推定(現地調査と一次データの不足を補うことを考慮)、3)窒素のフロー解析と排出負荷量の推定(窒素循環における出力(環境負荷)と合わせて入力(排出・発生負荷)をより明確に意識)、4)水質トレーサー解析、5)微生物遺伝子解析 、6)地域間比較と対策の提案(国内の地域差も解析の対象)、の6段階で進めることにする。解析の規模は、人間生活と水・物質循環の関係を俯瞰できる地域スケールに設定する。対象地域は、すでに実績のあるネパール・カトマンズ盆地、一次データと二次データが豊富な日本国内とし、将来の展開を見据えてアフリカ地域等を調査する可能性も探る。国内外の二次データの収集と過去に収集した一次データの整理を一旦終了させた後に、国内で対応できる実験や解析の作業を進める。同時に、情勢を見極めながら上述の地域での現地調査の機会を伺う。
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