2022 Fiscal Year Annual Research Report
International comparative study on nitrogen flows and environmental pollutions among rapidly-growing Asian countries
Project/Area Number |
20H02285
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
西田 継 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70293438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 忠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60431392)
中村 高志 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60538057)
亀井 樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80792168)
齋木 真琴 山梨大学, 大学院総合研究部, 研究員 (60967058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒素循環 / 開発段階 / 都市 / 農業 / 地下水 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会構造とともに変化する窒素汚染の仕組みを明らかにする。22年度は、1)基礎データ収集(現地調査と一次データの不足を二次データで補う)、2) 窒素発生負荷量(入力)の推定、3)窒素のフロー解析と環境への排出負荷量(出力)の推定、フロー解析を検証するための4)水質トレーサー解析と5)微生物遺伝子解析 、6)地域間比較と対策の提案(国内の地域差も解析の対象)、の6段階で進める計画であった。対象地域は、すでにデータを蓄積していて経済発展の前期段階にあるネパールの首都カトマンズ、一次データと二次データが豊富で経済発展の極大を過ぎたと考えられる日本国内の数地域、さらにカトマンズと似た社会状況にある首都プノンペンとの人口・経済交流が急速に拡大しつつあるカンボジア・カンポット州の農村地域、とした。 今年度はようやく流行病の見通しが出てきた。そこで1)4)5)を達成するために、ネパールとカンボジアに各一回の現地調査のため渡航し、水試料の採取と水質測定を行った。ネパール・カトマンズで取得した一次データと過去データを総合し、地下水のアンモニア汚染が複数地域で著しいこと、これは浅層では排水等、深層では地質を主な由来として混合していること、地中で何らの酸化反応を経て脱窒素反応による窒素除去が同時進行している可能性があること、が分かった。カンボジア・カンポットの地下水調査は、昨年の雨季に続いて今年の乾季で二度目である。採取試料の分析中だが、これまでのところ季節による顕著な違い、顕著な窒素汚染のある地域は認められていない。その原因として相対的な入力の小ささが関わっている場合、どのような社会・経済的な理由で説明できるかを検討中である。2)3)6)については、三地域の人口統計と農業統計を中心に情報を探索、収集を開始した。現在は、都市人口と農村人口、工業生産額と農業生産額等の長期傾向を整理している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年までは世界的流行病の影響で国内外の現地調査が全く実施できなかったが、今年度、ようやく社会動向の見通しが出てきたため、海外二地域の現地調査を行うことができた。その結果、地域の経済・風土・文化等が地下水の窒素汚染に影響する様式の差異を確認することができ、最終目的である国際地域間の比較・考察に有用な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)4)5)の分析・実験と2)3)の収集・整理を終了させ、6)の地域間比較と対策の提案の作業に移る。これまでの自然科学的アプローチと社会科学的アプローチに加え、当該地域の歴史・風土・文化等の人類学的・人文科学的なアプローチも視野に入れる。地域間比較のシナリオを検証する必要に応じて、現地調査を再度行う。
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Research Products
(1 results)