2021 Fiscal Year Annual Research Report
活性汚泥内に存在する微生物ダークマターCPR細菌群の代謝機能の解明と分離培養
Project/Area Number |
20H02287
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 智規 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10379901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 議輝 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (40386636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微生物ダークマター / CPR細菌群 / Patescibacteria / 分離培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は活性汚泥から高頻度で検出されるCPR細菌群(Patescibacteria)であるTM7(Saccharibacteria)門、SR1(Asconditabacteria)門、BD1-5(Gracilibacteria)門、OD1(Parcubacteria)門を対象とし、提案する分離培養戦略に基づき、4年間でCPR細菌群の代謝機能と下水処理プロセス内での生態学的役割を解明し、集積培養系の確立および分離培養を試みることを目的とする。具体的には①活性汚泥中のCPR細菌群の存在量・細胞形状の把握、メタゲノム解析による代謝機能の推定を行い、②MAR-FISH法によりCPR細菌群が増殖可能な有機物を特定し、理想的な培養条件を把握する。③これまでに実績のある高濃度微生物保持バイオリアクターを用いてCPR細菌群の集積培養を行う。④微小テクノロジーを活用した新規微生物反応場(微生物間相互作用)に基づく分離培養手法を適用する。 2021年度はPatescibacteriaが比較的多く存在する活性汚泥を選定し、採取直後の活性汚泥サンプルと細菌の構成比を変えるために3日間の好気もしくは嫌気培養を行った活性汚泥サンプルからDNAを抽出し、メタゲノム解析を行うことで10個の高品質なPatescibacteriaのゲノムを再構築することができた。また、環境条件の変化に伴うPatescibacteriaの構成比の増減に関与する細菌群としてChitinophagalesに着目し、Patescibacteriaとの活性汚泥内での共生関係を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性汚泥サンプルからDNAを抽出し、メタゲノム解析を行うことで10個の高品質なPatescibacteriaのゲノムを再構築することができた。Patescibacteriaの構成比の増減に関与する細菌群としてChitinophagalesに着目し、Patescibacteriaとの活性汚泥内での共生関係を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はPatescibacteriaのゲノムに含まれる16S rRNA遺伝子配列の全長を抽出し、系統樹作成ソフトARBを用いてPatescibacteriaに特異的なFISH(蛍光in situ hybridization)プローブの設計を試みる。プローブが設計できた後は、放射性同位体元素標識の基質をトレーサーとしたマイクロオートラジオグラフィー(MAR)により、好気・嫌気条件および温度や有機物濃度を変化させた条件下でPatescibacteriaの利用可能有機物を決定する。さらにPatescibacteriaを定量するための定量PCR法のプライマーセットの設計も試みる。新規分離培養手法の開発も進める。
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