2020 Fiscal Year Annual Research Report
活性汚泥の固体物性が微生物種間相互作用に与える影響の解明とその人為的な改質の試み
Project/Area Number |
20H02291
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 由也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 知大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90760439)
深山 覚 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90712191)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 種間相互作用 / 捕食-被食関係 / 微生物生態系 / 活性汚泥 / 微生物群集形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は数千種以上の微生物で構成される活性汚泥を対象に、微生物凝集体(フロック)の「固体物性」および微生物種間の「捕食・被食相互作用」に着目し、その物性の変化が、微生物間の捕食相互作用へ与える影響を理解することを目指す。さらには、その活性汚泥物性を人為的に改質し、微生物捕食作用を制御することに挑む。 本年度は当初の計画通り、微生物コミュニティを対象とした網羅的遺伝子発現解析法の高度化に注力した。なお、このテーマに取り組むためには高度な情報解析(インフォマティクス)技術と関連する深い知識が必要であったため、新たに情報解析を専門とする研究者に研究分担者として参画して頂いた。これにより解析手法の高度化は効率的に進み、KEGG databaseの代謝マップ上で、微生物コミュニティにおける複雑な遺伝子発現プロファイルを可視化することに成功した。 また、活性汚泥を用いた微生物捕食実験も進めることができた。結果として、活性汚泥の状態(採取時期やスタート時点の微生物組成)によって、微生物捕食作用とそれによる汚泥減容効果が大きく異なることが確認された。 さらに、当初は3年度目に予定していた内容であるが、研究計画を順調に進捗させるため、活性汚泥の物性を変化させうる物質の探索を、計画を前倒して進めた。数十種類の物質を試行し、物質によってその効果は多様であったが、中には活性汚泥の物性を顕著に変化させる物質も存在した。その物質については、活性汚泥微生物の代謝産物に影響が出ると考え、メタボローム解析を実施し、興味深い結果を得ている。次世代シークエンサーを用いた微生物組成変化の解析も合わせて進めており、これらの結果を統合して、本研究計画の効率的な遂行に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、計画通り研究を遂行することができた。また、一部については計画を前倒して進め、有用な知見を得ることができた。一方で、コロナウィルス感染症拡大の影響で大会を延期する学会が多く、学会発表等の成果発信は充分とは言えない。このような理由で、進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画から大きな変更はない。上述の通り、活性汚泥における捕食作用の解析を続け、並行して活性汚泥の物性を変えうる物質等の探索を進めていく。
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