2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of weld defects in steel buildings
Project/Area Number |
20H02297
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 剛 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90243328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 勇人 芝浦工業大学, 建築学部, 准教授 (70620798)
高塚 康平 京都大学, 工学研究科, 助教 (90758351)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 溶接欠陥 / 梁端溶接接合部 / 欠陥寸法 / 塑性変形能力 / 亀裂進展 / フェーズドアレイ探傷 / 寸法効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,溶接欠陥が構造性能に与える影響を構造実験により把握した上で力学的に解明し,合理的な判定ルールに基づいた検査規準を構築することである。 2020~2021年度では,梁にH-500×200×10×16(SN490B),柱に350×350×16(BCR295)を用い,梁と柱を通しダイアフラム形式で接合したT字形試験体(中型断面)を対象として,溶接欠陥の寸法形状および開先形状を実験因子とて18体の載荷実験を実施した。 2022年度では,破壊現象を検討する上で必要不可欠となるスケールエフェクトを実験的に確認するため,梁にH-800×300×16×28(SN490B),柱に550×550×25(BCP325)を用いた大型断面に対する載荷実験を計画した。これまでの中型断面試験体に対する寸法比は,約1.6である。工場溶接形式を想定した外開先の溶接部の始終端に,鋼片を挿入することにより人工的な欠陥を設けた。実験因子は,溶接欠陥の寸法(欠陥高さh,欠陥長さL)である。①欠陥無し,②h=8mm,L=8mm,③h=16mm,L=8mm,④h=24mm,L=8mm,⑤h=31mm,L=8mm,⑥h=8mm,L=24mm,の6体の試験体を製作した。欠陥寸法については,中型試験体の欠陥寸法に対する寸法比を1.6とした。また,同時に溶接部の機械的性質を調べるために,溶接継手試験体も製作した。溶接はCO2ガスシールドアーク溶接(YGW11)により行い,積層方法は7層10パスである。溶接施工時には,電流,電圧,溶接速度およびパス間温度を計測した。 載荷は,梁の全塑性モーメントbMpに対する弾性変形角bθpを基準とし,変位振幅3bθpによる一定振幅の正負交番繰返し載荷とし,梁端接合部が破断するまで載荷した。溶接部に発生する亀裂の発生個所および亀裂の進展状況に着目して,詳細な記録を残した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,中型断面(H-500×200×10×16)を対象とした工場溶接形式(外開先)の2シリーズ(12体)および現場溶接形式(内開先)の1シリーズ(6体)と大型断面(H-800×300×16×28)を対象とした工場溶接形式(外開先)の1シリーズ(6体)の載荷実験を行った。中型断面の2シリーズは,裏当て金の組立て溶接の位置を実験因子としている。 一方,中型断面の試験体を模した有限要素数値解析を行っている。解析モデルは対称性を考慮した1/2モデルとし,柱梁接合部近傍にはソリッド要素を用い,その他の柱部材および梁部材は 線材要素を用いている。溶接欠陥は幅 0.1mmのスリットを設けることにより再現した。欠陥先端の歪性状を調べ,同一寸法の欠陥に対して内開先の相当塑性歪の値は外開先の値の約1.7倍になること,および欠陥高さが大きいほど相当塑性歪は大きくなることが明らかとなった。また,解析より得られた欠陥(不溶着部)の開口変位に着目し,開口変位と実験より得られた延性亀裂の進展状況との関係を調べ,両者の関係を検討した。 これまでに全試験体に対して,実験前に超音波探傷検査を実施している。超音波探傷検査は,一般に用いられている斜角探傷法(探触子:5M10×10A70,5M5×10A65)と実用化されつつあるフェーズドアレイ探傷法の2種類で行った。実験終了後に破面を調査し,実際の欠陥寸法と探傷検査の結果を照合し,検査精度を検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度では,大型断面(H-800×300×16×28)を用いた現場溶接形式(内開先)シリーズの6体の載荷実験を行う予定である。これにより,中型断面の外開先シリーズおよび内開先シリーズと大型断面の外開先シリーズおよび内開先シリーズから成る4シリーズが完了する予定である。各シリーズの亀裂進展状況を比較することにより,欠陥寸法,溶接形式(外開先,内開先),寸法効果による影響を総合的に検討する。 また,大型断面の試験体を模した有限要素数値解析を行い,欠陥寸法が歪性状および開口変位に与える影響を調べ,実験より得られている亀裂進展状況との関係を調べる。これまでに中型断面シリーズにおいて得られている結果を含め,欠陥寸法と開口変位の関係および開口変位と亀裂進展状況の関係を検討することにより,溶接欠陥の合理的な合否判定基準を提案する。 実験前に超音波探傷検査を行い,実験終了後に破面を調査し,実際の欠陥寸法と探傷検査の結果を照合する。これまでの探傷結果を含めて,斜角探傷法では測定が困難であった欠陥高さの測定に関して,フェーズドアレイ探傷法の適用の可否を検討する。 最終的に,新しい溶接部の探傷方法の提案および溶接欠陥の合否判定基準の提案により,本研究は完成する予定である。
|
Research Products
(7 results)