2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing a new concept of comprehensive simulation science dovetailing CFD and MAS for evaluating urban environment and potential risks
Project/Area Number |
20H02314
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60227238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩島 理 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60294980)
池谷 直樹 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70628213)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MAS / CFD / シミュレーション新学理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,サイエンスの前線への貢献を意識しながら,安全・安心を担保するに最も基盤的な工学分野である都市・建築学の視点から,上記の課題に挑戦し,CFD+MASジョイント・シミュレーションに関する新たな学理を構成することを目的とする. (1)物体移動のダイナミクスをMAS(Multi Agent Simulation)でモデル化し,その影響を下流の流体解析CFD(Computed Fluid Dynamics)に接続するMAS→CFDジョイントシミュレーション手法を開発し,実験・実測を複合的に適用したアプローチに基づき検証する.具体的には,以下2項で述べる都市建築環境における汚染物拡散の素過程を解明することで,流体理工学を生活環境学へ適用し,科学的な都市建築学の新たな地平を切り拓く.[都市建築環境工学および流体理工学への寄与] (2)加減速しながら移動する車両が機械シアー生成を通じて都市キャノピー内の乱流混合に及ぼす動的影響を高精度予測するMAS→CFD・交通流モデルを開発する.都市キャノピー内の車両排ガス等の汚染物拡散の高解像度予測大系を構築する. (3)電車車両等の閉鎖空間内にトラップされた高密度人員が出口扉から退去するエピソードに注目し,歩行者が乱流混合に及ぼす動的影響を高精度予測するMAS→CFD・歩行者モデルを開発する.停車イベント時の満員電車の真の換気効率の高精度予測,電車人員密度に依存するインフルエンザ感染リスクの定量予測大系を構築する. (4)CFDがMASを追尾するMAS→CFDジョイントシミュレーションを拡張し,CFDとMASとを完全統合するシミュレーションの新学理を提示する.[CFD+MASジョイント・シミュレーション新学理への跨橋構築]もって,”Simulation”の概念に革新をもたらす.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により,(1)都市キャノピー内を通行する車両エージェントにより招生される乱流が,キャニオン内の有害ガススカラー拡散に及ぼす影響を予測評価するMAS→CFD交通流モデル,(2)狭隘な開口を通じて流動する人の流れが閉鎖空間内の汚染物拡散に及ぼす影響を予測評価するMAS→CFD歩行者モデルを構築する足掛かりを得た. 具体的には,プロトタイプとして,不規則に加減速する車両エージェントが排気ガスの乱流拡散に及ぼす影響を再現する流れ場を想定.CFDには,非定常流れ場が扱え,乱流特性の再現性に優れているLESを適用.MASに関しては,先読み(いわゆるQuick-Start効果;数台前までの先行車両の挙動を観て加減速する),慣性(いわゆるSlow-To-Start効果;一度停車すると再起動するのに遅れが生じる),ランダムブレーキ(確率的揺らぎ)といった実際のドライバーの加減速特性をよく再現することが既に検証されているRevised S-NFSモデルを適用.MASとCFDとの間に横たわる10^3オーダーの時間スケールの乖離に関しては,車両位置,速度,加速度を内挿する手法をベースに柔軟な補間アルゴリズムを開発し,経済的な解が得られるかのフィージビリティを確認した.また,個々の車両の速度と加速度データから汚染物質(HC(炭化水素),CO,CO2,NOxやSOx)の排出フラックスを推定する手法として,VT-micro法(Ahn et al.; Journal of Transportation Engineering, 128, 2002)を基礎にした新たなモデルを開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
都市キャノピー内の乱流混合により排気ガスが拡散するダイナミクスを解析する.(1)街路の幾何形状,(2)交通流動相(自由相か,渋滞相か,同じ渋滞相でも,いわゆるstop-and-go波にかかっているのか否か,(3)車線変更の有無とその頻度(交通流動の流れ方向に直交する車両エージェントのダイナミクスを考慮するか否か),(4)バックグラウンド流れの移流・乱流効果と車両エージェントの機械的シアー生成により生じる乱流混合効果との強度比など様々な要因が,都市キャノピー内外の換気効率,街路・歩道空間の平均濃度,各所ローカルピーク濃度等々に及ぼす影響を系統的に調べる. 高密度閉鎖空間内の感染症リスクの予測評価:電車,教室などの比較的小規模な閉鎖空間に人が高密度に詰め込まれ,かつボトルネックを介して外界との人の出入りがある系を想定.居住(歩行)者の中に空気(飛沫)感染するウィルスのキャリアが存在するときの感染リスク時空間分布を予測評価する.通勤時,過密環境に暴露される人が被る期待感染率を,電車人員密度とキャリアエージェント在室密度とをパラメータにとって整理し,行政施策をデザインする上で有意な基礎資料を提示する.
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Research Products
(5 results)