2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of control and management methods for odors in the elderly care environment
Project/Area Number |
20H02316
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
光田 恵 大同大学, 工学部, 教授 (40308812)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 臭気 / 高齢者介護 / 室内空気質 / 空気環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高齢者介護環境臭に対するにおい感覚評価 高齢者介護環境臭を構成するメチルメルカプタン、イソ吉草酸、n-吉草酸、アセトアルデヒド、硫化水素を用い、被験者として、10代6名(男性3名、女性3名)、20~30代男性6名、60~70代男性6名の計18名を採用し、におい感覚評価を比較検討した。その結果、全体的に60~70代の臭気強度が低い傾向にあり、におい物質の不快度については、どの年代においても、イソ吉草酸、n-吉草酸、硫化水素の不快度が高かった。また、模擬臭、模擬臭を構成する各におい物質、模擬臭から一部のにおい物質を除いた試料を液体で作製し、臭気強度を3に調整した上で10代6名に評価させた。その結果、イソ吉草酸を含む試料の不快度が高くなる傾向にあった。 2.高齢者介護環境臭の不快感に影響するにおい物質の容認性 1の検討結果から不快の原因物質であるイソ吉草酸を対象物質とした。作製したイソ吉草酸ガス試料について機器分析と簡易嗅覚測定法より物質濃度と臭気濃度を測定し、閾値を算出した。容認性評価については、作製したガス試料の物質濃度を測定し、求めた閾値より閾希釈倍数を6段階に調整した。被験者60名に各調整試料の臭気強度、快不快度、容認性、においの質を評価させ、閾希釈倍数と非容認率の関係より、日本建築学会の提示している方法で臭気の基準値を求めた。その結果、イソ吉草酸では、日本建築学会環境基準の生活環境の臭気の推奨値、許容値よりも低い値となった。 3. 小型チャンバー内でのにおい物質の挙動の検討 アンモニアと芳香臭として代表的なD-リモネンを用いて、チャンバーの給排気の位置を変化させ、物質の拡がり方を気流シミュレーションとガスセンサ測定から検討した。その結果、D-リモネンは床付近の濃度が高く、アンモニアは天井付近の濃度が高く、物質により空間での拡がり方が異なることが把握された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「臭気の基準値設定」では、高齢者介護環境臭の模擬臭を用いて、臭気濃度や臭気強度といった量的指標と非容認率(受け入れられない割合)の関係に関するデータを蓄積し、各施設で適切な基準値が選択できるように、日本建築学会環境基準を参考に、非容認率15%、20%、30%の臭気濃度、臭気強度を求めることを目指しており、不快感に影響するにおい物質であるイソ吉草酸の臭気の基準値を求めることができた。また、「センサーによる臭気管理方法の検討」については、高齢者介護環境臭に応答があり、他の臭気の影響を受けにくいセンサーを選定し、小型チャンバー内での介護環境臭の挙動の測定とシミュレーションによる挙動の検討を行う予定としていたが、おおむね計画通りに実施出来た。 以上より、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当初予期していないことが起きた場合にも、検討を進めるべき内容の順番を入れ替えるなど柔軟に対応し、当初の研究目的を達成できるように取り組む計画である。官能評価を実施するにあたり、新型コロナ感染症対策に努め、臭気試料の作製、提示方法、被験者の評価方法等を工夫し、必要なデータが収集できるように実施する。
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