2020 Fiscal Year Annual Research Report
広域ネットワーク人流シミュレーションによる統合的バリアフリールートの整備デザイン
Project/Area Number |
20H02327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90633371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 由佳理 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80586751)
日下部 貴彦 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (80604610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネットワーク分析 / 人流シミュレーション / エビデンス・ベースド・デザイン / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体の研究計画は、課題A:個人ベースの移動行動の把握 → 課題B:広域ネットワーク上の緻密な移動流シミュレーション → 課題C:バリアフリールートの全体最適化に向けた提言、という3課題から成る。 初年度である2020年度は課題Aを集中的に推進した。具体的には、2種類のパネル調査(「webアンケート調査×3回、調査人数は300人から逓減」と「高齢者郵送調査×2回、調査人数は424人から逓減」)を行い、移動行動についての詳細なデータを得た。それにより、交通弱者程度・移動目的・交通手段などと移動発生量の定量的な関係および、移動にまつわる心理と行動の関係を明らかにした。また新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)流行にともなう移動行動の変容を、同一人に対して複数時点にわたり解明したことも成果のひとつである。これらの知見は、従来の物理的バリアのみならず「対人距離を確保したい」という新たに勃興した心理的バリアも考慮する、ウィズ/ポストコロナ時代の新たな移動様式を踏まえたバリアフリールートの計画に寄与できる。以上の結果を論文としてまとめるとともに、2021年度以降の分析に供するためのデータ処理を行った。 また課題Bとしては、広域鉄道網歩行空間ネットワークモデルの整備を進めた。そして予備的な分析として、利用者は最短経路で移動するという仮定に基づき、限定された空間におけるネットワーク分析を行った。2021年度以降はこれをベースに、より現実的な移動原理に基づく広域シミュレーションに発展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2019年秋時点では、課題Aとして、東京パラリンピック時に交通弱者の行動観察を行い、また別途車椅子ユーザの移動実験を実施する予定であった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を理由として、これらは実施を中止した。一方で、2020年時点で人々の移動量は激減し、変容する移動様式を見据えた計画論が必要な状況になった。そこで予定を変更し、回答者とは接触しないアンケートでの意識・行動調査を計5回行った。これにより、当初予定とは異なるかたちではあるものの、移動についての有意義な知見を得て、かつ2021年度以降の分析のベースになる数値データを入手できた。また課題Bとしては、広域鉄道網歩行空間ネットワークモデルの整備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に行った課題Aのパネル調査の分析をさらに進め、個人の移動行動の実態を詳らかにする。また課題Bとして、個人ベースでの広域移動を再現するシミュレータを構築する。くわえて課題Cとして、バリアフリールート整備案の便益比較と計画提言を部分的に行う。これらの課題(特に課題Bと課題C)は2022年度も引き続き実施予定である。
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