2020 Fiscal Year Annual Research Report
南太平洋島嶼国サイクロン常襲地の健全なる居住文化形成に向けて
Project/Area Number |
20H02329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (70346097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤枝 絢子 京都精華大学, 人文学部, 講師 (60598390)
宮地 茉莉 京都大学, 地球環境学堂, 特定助教 (80868597)
西嶋 一欽 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80721969)
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (60283868)
伊庭 千恵美 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10462342)
中嶋 麻起子 広島工業大学, 工学部, 助教 (40773221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南太平洋島嶼国 / サイクロン常襲地 / 居住文化 / ノンエジニアド住宅 / 伝統建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
・研究の目的 本研究は、サイクロン常襲地である南太平洋島嶼国を対象に、居住性や耐災害性を備えたバランスある居住文化形成を目指し、集落にみられる伝統住居や新建材住居というノンエンジニアド建築の性能について、多面的な工学的評価(①空間性能、②環境性能、③耐風性能)を行い、健全な住居のあり方を提示することを目的とする。研究調査対象地は、これまでフィールド調査を実施してきたフィジーを中心に、バヌアツ、サモア等の周辺国を視野に入れる。近年の市場経済普及による伝統住居から新建材住居への急激な移行、サイクロン被害を契機とする再建住居の応急的建設など、住居性能の低下や劣化が多くみられる。このような社会経済的な影響や自然災害の影響のもと、持続的に安定した住居性能を担保することが、新たな居住文化の創造に資するものとなる。 ・研究実績の概要 前述した多面的な工学的評価に関連する研究実績の概要を記述する。フィジーにおけるサイクロン災害による住宅復興に関して国際会議発表2報(2020/11, 12)、国内会議発表2報(2020/09, 09)、茅葺住居の温熱環境性能に関して国内会議発表1報(2020/10)、伝統住居の環境デザインに関して著作1報(2021/03)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多面的な工学的評価、①空間性能、②環境性能、③耐風性能の各々に関して進捗状況を記述する。 空間性能:フィジーの防災に関する政策や行政資料の収集とレビューを進め、トップダウン式の政策と被災地の自助・共助でのボトムアップ式の災害復興の実態に齟齬があることを確認した。地域コミュニティにおける共助は災害時だけでなく、平時においても機能していることをオンライン調査により明らかにした。 環境性能:フィジー伝統住居ブレの室内温熱環境形成に大きな影響を及ぼしていると考えられる茅葺屋根に焦点を当て、その熱湿気性状を明らかにし室内環境への影響度を検討した。ブレの茅葺で使用される茅材に類似する京都・美山の茅葺住居を対象とし、実測調査で得られた茅葺屋根の熱湿気挙動を再現するモデルを作成、断熱性や蒸発冷却効果といった熱的特性の定量化を行った。 耐風性能:南太平洋地域の住居に関する既往研究および関連資料を収集し住居の特性を整理するとともに、過去のサイクロンによる被害状況を把握した。耐風性能評価の対象としてフィジーおよびバヌアツを選定し、対象地域の住居の構造特性を把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により調査対象国への渡航、フィールド調査が難しい状況にあるため、国内での文献調査やオンラインによる調査実施の可能性検討、関連する調査項目の国内実施など、研究活動が制限される条件下で工夫をしながら研究準備を進める。
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