2021 Fiscal Year Annual Research Report
An interdisciplinary and historical study on the forms, spaces and techniques of architecture that were transmitted through the medieval Zen temple
Project/Area Number |
20H02337
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 俊一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40360193)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (30323661)
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00416265)
溝口 正人 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (20262876)
鈴木 智大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (60534691)
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 禅院 / 禅宗様 / 山水 / 建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もコロナ禍のため、一部の日本国内での調査を除き、海外での現地調査をすることが出来なかった。しかし、本来の課題を関連する研究テーマへと臨機応変に再設定しながら、国内で遂行可能な範囲で研究の進捗を見ることができた。 野村は「唐様=禅宗様」の対義語としてしばしば史料上にも登場する「和様」という言葉をめぐって、建築史学史的観点から言説の系譜を明らかにし、本課題とも大きく関わる基礎的研究の一環として『空間史学叢書 聖と俗の界面』の特集記事としてまとめた。併せて、建築史学会にて記念シンポジウム「〈和様〉建築の再検討」を企画・運営し、和様および折衷様の微細な検討に向けた議論を行った。溝口は室町時代に遡る二階建て建築を戦国大名居館大内館に確認し、近世武家屋敷の庭園にみられる二階建て建築が、その系譜に連なる存在であること、また大名家江戸上屋敷の大書院平面が室町時代以来の平面形式を伝えていることを指摘した。川本慎自は「中世禅僧と造営・土木知識」(『日本史研究』715号,2022年)において、室町期の相国寺僧による中国史書の講義録(『史記桃源抄』)に見える北山殿・金閣造営に関わる記述から、中世禅僧がいかにして中国の建築物に関する知識を受容していたかを考察した。塚本は唐末・五代における宗教絵画と場所の問題を中心に、貫休羅漢図信仰の広がりと空間性の問題を考察した。 日本の禅院を結節点に移入し独自に解釈された、さまざまな知識体系の一端が明らかになりつつある。また、中世建築様式のひとつである「禅宗様」という言葉をめぐる包括的な再検討や、現地調査をもとにした内実の再検討などが、野村・溝口・川本により、既往研究のもと多角的に進みつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、海外での現地調査が不可能となっているため。国内で遂行可能な研究調査については、徐々にではあるが可能になりつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
出来る範囲で遂行するほかない。ただ、オンラインでの研究会など新たな学術コミュニケーションの可能性を追求することは出来るだろう。今後もこの方法や内容にリソースを投入し、学際研究を模索する。ひとまず、日本の事例に限定し、調査リソースを投入する予定である。
|
Research Products
(19 results)