2022 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the development of Hellenistic architecture I – Rise of the royal palace at Pella
Project/Area Number |
20H02339
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 隆一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70407203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明子 (中川明子) 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 准教授 (10442469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘレニズム / 王宮 / ペリスタイル列柱中庭 / パライストラ / 浴室 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ペラ王宮の建築遺構調査を継続した。区画Vは当初の発掘者によってパライストラ(体育教育施設)と考えられているものの、今回の再調査によって全体の発掘と整備が行われた。R4年の現地調査では、テッサロニキ大学測量学科の協力でドローンによる写真測量と、三次元モデルの作成、および平面遺構図の作成のためのオルソ画像を作製していた。R5年度の現地調査では、新たに出土した水道設備を中心に実測図を加筆し、今回の調査で把握できるすべての遺構平面のデータを収集した。また、建物の上部構造の一部であった建築部材が出土していたことから、詳細な展開図で実測図を作成し、写真によって記録を取った。帰国後、これらの一次資料を手掛かりとして区画Vの平面復元および部分的な上部構造の推定を行った。その結果、ペリスタイル列柱中庭を持つ当該建物は、以前の発掘者が提唱したような木造列柱ではなく、イオニア式の石造列柱があった可能性が高く、後にその一部が改修されたと考えられることが新たに明らかになった。また北翼部にはエフェーベイオン(講義室)があり、コリント式半円柱で装飾されていたことが確認された。また従来考えられていたよりも多くの水道設備が存在し、少なくとも2つの部屋が浴室として機能していた可能性があることが明らかになった。建築物としてのパライストラは、ペリスタイル列柱中庭、エフェーベイオンおよび浴室(または水にまつわる諸室)の三つが主たる要素であったが、水にまつわる設備の充実が、初期のパライストラにおいて重要であったことが明らかになった。ペラのパライストラは、アクロポリスに立地する王宮建物の内部に設けられたことや、パライストラ自体も開口部が少なく閉鎖的な空間であったことを考慮すると、マケドニア王国のエリート層の青少年たちの体育教育施設であったことに疑いなく、初期ヘレニズム王宮の祖型が明らかになった。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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