2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on milimeter-wave discharge detonation using a gyrotron
Project/Area Number |
20H02344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小紫 公也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90242825)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 航空宇宙工学 / プラズマ / 放電 / ミリ波 / ジャイロトロン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)94 GHz ジャイロトロンを使用した大気ミリ波放電試験:超電導コイルと真空管の相対姿勢について100マイクロメートル精度でアライメント調整を行い、発振出力を増大した。加えて従来、発振中の真空度上昇に起因するアーク放電により、電極電圧40 kV, 発振パルス幅10 μsに制限されていたが、真空配管の改善とイオンポンプの導入により、電極電圧45 kVにて、300 μsを超え、繰り返し周波数1 Hzを超える準定常発振を達成した。その結果、発振ミリ波強度の正確な評価と、100 mmを超える長さのミリ波放電進展の観察が実現し、放電構造が遷移する様子の撮影に成功した。また、ミリ波強度分布について、従来の測定手法では強度の積分値と、強度分布形状の2回の測定が必要であった。樹脂製の厚板吸収剤と熱伝導計算と感温液晶を組み合わせ、1回の測定で強度分布を簡便に測定する手法を確立した。 (2)デトネーション伝播現象解明のための数値解析:2次元CFDコードを発展させ、より現実に近い円筒形状の推進器におけるミリ波支持デトネーション流れが計算された。また、ミリメートルスケールで生じるプラズマの微細構造に注目した2次元CFD計算によって、振動-並進温度の非平衡流れが生じ、従来の化学デトネーションとは異なる位置に衝撃波が発生することを示した。 (3)マイクロ波ロケットの打ち上げ軌道解析:昨年度の解析により、28 GHzをはじめとする低周波数のミリ波での打ち上げがコストを最小とすることが示された。実績(1)に記す94 GHzにおける放電進展観測の結果によって、ミリ波放電進展速度が周波数によって変化する様子が確かめられたため、その影響を考慮して推進性能を再評価することで、より高周波でのミリ波を用いた打ち上げが最適となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ジャイロトロンを使用した大気ミリ波放電試験:本研究の目的の一つであった超音速で伝播するミリ波放電デトネーションの観測に成功した。伝播速度やプラズマの放電構造に関して、周波数依存性を検討するうえで有意義な成果が得られた。特に、ジャイロトロンの最大出力が向上したため、ミリ波強度を変数とする集中的な実験研究が可能となり、放電構造が遷移するミリ波強度の周波数依存性に関する知見が得られた。 (2)デトネーション波伝播現象解明のための数値解析:デトネーション伝播現象と空気吸い込み現象の両方を同時に再現する2次元CFDコードが開発された。今後、実験結果で得られた現象を精密に再現できるよう改良を重ねることで、本計算コードは推進機形状の最適設計を行う上で有用なツールとなることが期待される。 (3)マイクロ波ロケットの打ち上げ軌道解析:H-IIBロケット第1段目のマイクロ波ロケット置き換えにより78%のコスト削減が可能であることが示され、本研究の取り組みが実用上、有用であることが裏付けられた。またミリ波放電デトネーションの周波数依存性に関する知見を加味した軌道解析により、より正確な最適軌道設計が期待される。 (4)ミリ波強度分布の測定手法の開発:ミリ波強度を簡便に測定する手法の開発に成功した。今後ミリ波強度を変数とするミリ波支持デトネーション実験研究を加速度的に行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ジャイロトロンを使用した大気ミリ波放電試験:ジャイロトロンについは、今後は発振中のアウトガスを削減するエージング作業を継続することで、さらなる運転電圧の向上と発振出力の増大が見込まれる。また、超電導磁石に対して傾き方向のアラインメント調整を0.1ミリラジアンオーダーで行い、発振出力を増大する。また、コンデンサーバンクを追加することでマルチパルス運転も可能となる。プラズマ計測については、今後は2波長マッハツェンダーや発光分光法を用いて、プラズマ諸量の空間分布計測に試みる。 (2)デトネーション波伝播現象解明のための数値解析:今後研究(1)で計測する、プラズマ諸量の空間分布を数値計算に取り入れることで、本研究で開発したコードの妥当性を評価し、改良を重ねる。最終的には実機スケールまで計算領域を拡大させ、将来のマイクロ波ロケット打ち上げで予想される現象の解明に取り組む。 (3)マイクロ波ロケットの打ち上げ軌道解析:94 GHzジャイロトロン実験で知見が得られたデトネーション伝播現象の周波数依存性をモデル化し、マイクロ波ロケットの打ち上げ軌道解析で考慮する。これにより、より正確で最適なコスト削減のための打ち上げ伝送周波数や伝送光学系の検討を行う。
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[Presentation] High-Power Microwave Oscillation of a 94 GHz Gyrotron for Air-Breakdown Plasma Observations in Microwave Rocket2021
Author(s)
Kuniyoshi Tabata, Ayuto Manabe, Kimiya Komurasaki, Tsuyoshi Kariya, Ryutaro Minami, Tsuyoshi Imai, Yasuhisa Oda, Masafumi Fukunari, Yusuke Yamaguchi, Yoshinori Tatematsu, Kazuo Hayashi, Ryosuke Ikeda, Ken Kajiwara, Koji Takahashi, and Keiji Sakamoto
Organizer
IRMMW-THz 2021, Online
Int'l Joint Research
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[Presentation] 94 GHz ジャイロトロンのビームプロファイル推定及びビームを用いた大気放電進展観測2021
Author(s)
真鍋亜佑斗, 田畑邦佳, 髙瀬芳貴, 小紫公也, 假家強, 南龍太郎, 今井剛, 小田靖久, 福成雅史, 山口裕資, 立松芳典, 林一生, 池田亮介, 梶原健, 高橋幸司, 坂本慶司
Organizer
第 65 回宇宙科学技術連合講演会, オンライン
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[Presentation] 94 GHzジャイロトロンの大電力化と それにより駆動されるデトネーション波の観測2021
Author(s)
田畑邦佳, 真鍋亜佑斗, 髙瀬芳貴, 小紫公也, 假家強, 南龍太郎, 今井剛, 小田靖久, 福成雅史, 山口裕資, 立松芳典, 林一生, 池田亮介, 梶原健, 高橋幸司, 坂本慶司
Organizer
第 65 回宇宙科学技術連合講演会, オンライン
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