2020 Fiscal Year Annual Research Report
連続レーザーアブレーションによる浮遊スペースデブリ除去法に関する研究
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20H02348
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 浩一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90375121)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペースデブリ / レーザーアブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の4件の成果を得ることができた。 (1)JAXA筑波宇宙センターの石川研究室において構築された静電浮遊炉の地上試験設備を利用させていただき、実験研究を行った。その結果、地上ならびに宇宙(無重量環境)における静電浮遊炉を用いて、模擬デブリをレーザー加熱することで、高温状態にし、その後、レーザーを照射することによって生じるレーザーアブレーション推力を計測する方法を確立することができた。 (2)3種類の材料について、静電浮遊炉内で高温模擬デブリの静電浮遊に成功し、弱い連続発振レーザーを照射した際の推進力を計測することに成功した。高温金属の弱いレーザーアブレーション推力は、静電浮遊法を用いた本研究で初めて得られた貴重な実験データである。この結果から、レーザーアブレーション推力の材質依存性を明らかにすることができた。また、模擬デブリの初期温度によって推力が大きな影響を受けていることがわかり、実験における温度モニターと、温度をパラメタとした実験の重要性が認識された。これらの知見は、今後の実験研究計画にフィードバックすべき重要なポイントである。 (3)種々の条件の下で、熱的に孤立したスペースデブリに生じるレーザーアブレーション推力を推定するための物理シミュレーションプログラムを構築し、先の(2)に示した実験結果との定量的な比較までを実現できた。 (4)静電浮遊炉の構築:大阪府立大学の我々の研究室に静電浮遊炉を構築する作業を開始し、2021年度中に、高速度カメラによる画像認識によるリアルタイム制御を実装することに成功し、大気開放状態で、模擬デブリの安定な静電浮遊を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
推力計測の基本的な方法についてはほぼ確立した。 独自の静電浮遊炉の構築は、最も困難な浮遊の実現を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙での微小重力実験によって、レーザー加熱およびレーザーアブレーション推力の発生における重力の影響を解明する。 独自の静電浮遊炉を真空下での実験を実現すべく、装置の改修を続ける。静電浮遊炉が完成し次第、種々のレーザー条件ならびに材料を用いた実験を行う。実験と並行して物理シミュレーションプログラムの改修、実験データとの比較検証を行うことにより、より高い精度で現象を再現するシミュレーション手法を開発する。このシミュレーションプログラムに基づいて、スペースデブリに適した条件の模索と、そのための実証実験の計画を行うところまで研究を進めたい。
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Research Products
(5 results)