2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method for significantly improving the fatigue life of welded joints by the laser processing
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20H02372
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 浩二 九州大学, 工学研究院, 教授 (60274487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疲労 / 特殊加工 / 溶接 / 構造・材料 / 維持管理工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,疲労亀裂発生部である溶接止端部近傍に対するレーザ照射効果(局部浸炭効果による強度向上,溶接止端半径緩和による応力集中低減)と,レーザ照射が鋼材内部内部に及ぼす影響としての結晶粒微細化効果を建造初期段階に付与することに加え,接合工程でも大出力レーザを効率的に活用するレーザ・アークハイブリッド溶接を適用することで,長期間の供用においても十分な耐疲労性能を確保する大型溶接構造物の建造手法を構築することであり,2021年度には以下に述べる研究項目(a)~(c)を実施した. (a)レーザ照射による局所浸炭処理について,(1)レーザ出力が浸炭部の硬さに及ぼす影響を確認した.(2)レーザ照射浸炭により発生する気孔欠陥の生成原因及び,これの防止策としてケイ素粉末を黒鉛粉末の2倍の質量で混合した塗布材を使用することで硬さを損なわず気孔欠陥を抑制できることを確認した. (b)通常のアーク溶接で製作した継手の疲労強度改善効果を検証するため,アーク溶接継手の溶接止端部に(a)で検討した条件による処理を溶接長全体の止端部に対して安定的に付与した継手を製作した. (c)溶接施工承認試験での施工が要求される溶接長1m以上の継手を安定的に製造するための施工条件について熱弾塑性有限要素解析により溶接施工中の開先幅変動挙動を検証し,この影響も考慮して,溶接長3 mで溶接中断が無い片側貫通T継手の製作を達成した.この施工に際して,溶接ワイヤとしてフラックス入りワイヤを用いることで表ビードの溶接止端部は滑らかとなり,疲労強度が向上することを確認した.加えて,レーザ出力抑制を目的にΛ形開先の適用を試み,ハイブリッド溶接法の実用化へ向けた課題を整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,船舶,海洋構造物,橋梁などの大型溶接構造物における主な損傷形態である疲労について,先進的な溶接法であるレーザ・アークハイブリッド溶接の適用と溶接止端部近傍に対する局所レーザ照射処理により大幅な寿命改善を達成することを目的としている.前者については施工承認を得られる溶接長1mを十分に超える溶接長に対する施工条件を確立している.後者については,効率的な浸炭処理を可能とする条件導出とこれに付随する気孔欠陥防止対策を達成している.以上の観点から,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初設定した課題は2年間の研究によりほぼ達成している.最終年度は更なる研究の発展と深化のため,局所レーザ照射により,浸炭処理と結晶粒微細化処理を同時かつ溶接止端部からできるだけ深い位置に結晶粒微細化層を生成可能なレーザ照射条件を探索する.また,複数の溶接止端に対する処理効果を疲労試験により検証する.
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