2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on automatic maneuverability of quadmaran vessel for faster and efficient sailing to improve cruising distance
Project/Area Number |
20H02376
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
二瓶 泰範 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00470055)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 船舶海洋流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
二瓶等は自由自在な操船が可能である四胴ロボット船を独自に研究開発してきた。四つの船体(胴)を持ち、各胴にはプロペラがついており、各胴は独立に回頭させることが可能であるという極めて独創的な構造をしている。その為、自由自在な操船や洋上での定点保持が可能な船となっている。現在、四胴ロボット船は養殖場内の自動水質調査を行っている。現在はリチウムイオン電池により航行しているが、今後、さらなる長距離航行を実現させる必要がある。そこで、この四胴ロボット船の航続距離を飛躍的にのばす為、ハードセールによって風の力を使い、これを達成する。 2020年度は、ハードセールの設計、製作、実験により、適したセール形状を明らかにすることを行った。最初に、ハードセールの大きさや形状を決めた。形状はNACA4412翼をベースにしている。そして、ロボット船の横傾斜推定および船速推定を行った。 ロボット船へハードセールを実装するためには、実際にアクチュエータによる縮帆・展帆機構が必須となる。このような縮帆・展帆可能なハードセールは世界的も存在していないので、これを設計することとした。合計11種の縮帆・展帆可能なハードセールを設計した。そして、3Dプリンターにより全11種のモデルを試作した。この11種のハードセールの中から高揚力を発生できる断面形状であること、すなわち可変キャンバーを有すること、マストが十分に横風に耐えられる構造となっていること、このような観点から最終的に1つのハードセールを選定するに至った。 本ハードセールは、2本のマスト(メインマストとサブマスト)から構成され、3段階の縮帆が可能な機構になっている。また、キャンバー翼を実現するため、サブマストはローテーション可能になっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動セーリングの一番の鍵がアクチュエータで稼働可能なハードセールの構築である。ヨットは一般的にソフトセール(軟帆)が使用される。しかし、自動セーリングとなるとソフトセールはセールや制御のためのシート(ロープ)の絡まり等が考えられる。よって本研究は、ハードセールを導入する。強風時にはセールを小さくする必要があるし、微風時に大きな推進力を得るため、翼にはキャンバーが必要となる。ハードセールは(ⅰ)セール迎角可変、 (ⅱ)キャンバー可変、(ⅲ) 展帆、縮帆(リーフ)機構を備える仕様とする。 2020年度、縮帆・展帆可能なハードセールが存在していなかったこともあり、11種のハードセールを考案できたことは評価できる。特にサブマストをローテーション機構にすることによりキャンバー翼にし、高揚力を得る機構を考案することも評価できる。2020年度中に実機を作るところまで進めたかったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は最初に実機を製作する。次に自動セーリングを達成する。 セーリングは主に2つの航行モードから成り立つ。①相対風向、相対風速に応じてセール迎角を変える準静的セーリング、②タッキング(上手回し)、ジャイビング(下手回し)といった動的セーリングである。2021年度は①の自動セーリング技術を構築する。決めた目的地に向かってセールの向き、従来船の舵に相当する四胴ロボット船の船体向きを制御してクローズホールド(風上に向かって)、アビーム(風向に対して直角に)、ランニング(風下方向に向かって)へ定常航行する技術である。 セール流体力と船体流体力計測結果から速度予測プログラム(Velocity Prediction Program: VPP)を開発し、相対風向角に応じたセールの目標迎角、通常船の舵に相当する船体角度を明らかにし、全方位への定常航行の制御方法を明らかにする。相対迎角は船のスピードや絶対風向角等で変化する為にセールをこれに応じて(準静的に)変化させる制御を構築する。尚、制御に際して、GPSによる船の位置、地磁気センサーによる船の方位に加え、相対風向・相対風速や、セール迎角等についても計測し制御を行う。制御はPID制御を用いる。 実験は大阪府立大学プールおよび後述する実海域において実験を行う。
|
Research Products
(9 results)