2020 Fiscal Year Annual Research Report
多孔板への噴流衝突を利用した高圧水素設備の安全性向上技術の評価
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20H02396
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
朝原 誠 岐阜大学, 工学部, 助教 (40633045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 武志 岐阜大学, 工学部, 教授 (60303666)
平原 裕行 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20201733)
姜 東赫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40610366)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高圧水素 / 水素漏えい / 噴流 / 多孔板 / PIV / ジェット火炎 / 浮き上がり火炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020度は,多孔板へ衝突する噴流において,孔径,開孔率,障壁設置位置,障壁厚さ等が噴流に与える影響を調査するために,自由噴流,無孔板,多孔板の設置を施した3条件において可視化実験,PIV解析,濃度測定実験を行い,多孔板に衝突する噴流の運動量欠損と可視化実験による噴流構造の相関を調査した.実験方法としては,ツインパルスレーザを時間間隔10μsで設定し,タイミングジェネレーターを用いてYLFレーザと高速カメラを同期させた.ノズルと多孔板間の距離を200 mmとし,同一条件下で可視化とPIV解析用の撮影を行い,自由噴流,無孔板の衝突噴流,多孔板の衝突噴流の可視化画像を比較した.その結果,多孔板の衝突噴流では,無孔板の衝突噴流と類似な渦を巻きながら壁の接線方向に広がる流れが確認された.また,多孔板を通過する流れでは,同一開孔率においても,孔サイズ及び壁厚の違いによって,多孔板を通過した流れの拡散挙動が大きく異なることが観察された.これらは,PIV解析によって測定された平均速度分布及び乱れの強さから定量的に評価することができた.濃度測定実験では,水平方向に噴出させたヘリウムを垂直多孔板に衝突させ,周囲のヘリウム濃度を測定した.その結果,多孔壁に衝突したヘリウムが浮力の影響で上方へと分布する傾向が得られた.また,多孔板の開孔率が大きいほど,ヘリウムが多孔を通過して下流側に分布する.以上のように,2020年度では,多孔壁に衝突する噴流の基礎データを取得でき,2021年度に実施を予定している大規模実験の条件設定に役立つ指針を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を計画通りに遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔板へ衝突する噴流に対して,多孔板の抵抗を測定し,PIVの結果から得られた運動量欠損との相関を調査する.また,LDVを用いて,PIVでは測定が困難な多孔板近傍の流れを定量的に測定する予定である.これらの結果を用いて,多孔板の孔サイズ,開孔率,板厚,設置距離等をパラメータとし,実験・理論・数値解析から速度予測式を導出する予定である. また,最大90MPaの高圧水素を噴出させる大規模実験を実施し,多孔板への噴流衝突による濃度分布を測定し,2020年度から実施しているヘリウムによる基礎実験との整合性を確認する.さらに,水素噴流中での強制着火により形成されるジェット火炎の熱影響領域を測定し,火傷に至るリスク領域を明確化する. 一方,数値シミュレーションにより,噴流条件(圧力,噴出口径等),多孔板条件(開孔率,板厚,設置位置等)をパラメータとした水素濃度分布,速度分布を示す. 2022年度に実施する多孔板への噴流衝突による水素濃度分布モデルの構築に向けた実験および数値シミュレーションのデータ蓄積を目指す.
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