2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel evaluation methodology of burning character of thermoplastic material using low pressure
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20H02397
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中村 祐二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50303657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 常吉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90633040)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 燃焼 / 熱可塑性樹脂 / 溶融 / 微小重力 / d2則 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラスホフ数相似を用いた球状燃焼場の精度を高めるような装置改善を行った.液的燃焼と等価のd2則は明確に成立するものの,液的燃焼では液体内部温度は表面温度と同じとの仮定が成立するものの,個体燃焼の場合はガスを発生させる熱分解温度が液的の蒸発温度に比べて圧倒的に高いことから,試料内部温度が表面温度と異なる.この分の補正をしないと液的理論で導かれるB定数を燃焼特性値とすることができない.表面温度を一般的なポリマーの分界温度として試料内部との温度差を想定したうえで,その差に相当する補正をする理論モデルを提案した.支持球内に熱電対を埋め込むことで試料内部温度の計測し,その結果をもとに補正した結果は,さまざまな研究者が過去に提案しているポリマーのB定数値に近くなり,本手法がポリマー特融の燃焼特性値を与え得ることが確認できた.ただし,燃焼場の温度計測をより正確に行うことをしなければモデルの妥当性を示すことが難しいため,そのような計測が次年度の課題として残される. 本年度,従来のPMMAの燃焼データに加えて,NISTによる微小重力場での実験結果があるPPを用いて検討した結果,ポリマー種が変わることで煤発生量の変化,溶融部の取り扱い等が変わることが明確となった.試験装置の高度化は今後の課題として引き継ぐが,今後はPMMAやPP以外の試料に関する燃焼状況の観察を行うことで,装置の最適化を目指す.PMMAとPP以外は微小重力実験データはないため,コロナ感染症拡大の状況を踏まえ,最終年度には微小重力実験ができるようなラック搭載用の試験装置の開発も継続して行うべく,概念設計などを完了した.具体的な試作および動作試験については次年度の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度における2020年度は,先行研究として行った低圧場による熱可塑性高分子の燃焼システム(Migita et al., Fire Tech. 2020)の改良を行った.具体的には試料指示部の更新ならびに着火部の変更である. 加熱により試料を支持球周囲に均一に覆うことが必要であるが,条件によっては偏るなどが散見されたため,加熱機構部分の更新を行い,均一な加熱を実現できるようにした.その結果,当初よりは改善されたものの,まだ改善の余地があることがわかった.様々なサイズの支持球を検討することによって最適な試験条件を抽出し,再現性の高い試験を行うべく継続検討をしている.この検証のため,溶融物の流動性の低い試料(PMMA)と高い試料(PP)の2種類での燃焼試験を実施した.PPの場合,支持球からのずり落ちが頻繁に観察されることがわかった.この結果は,試料によって最適な支持球にしておく必要があることを示唆している.試料特性と支持球の最適化条件を年度後半から検討しており,本件は次年度も継続課題とする.なお,燃焼時の溶融物状態は内部気泡による非定常挙動は購入した高速度カメラにより詳細に確認できるようになり,従前よりも観察精度が向上して原因究明に役立っている. 燃焼時の発生煤計測とそれによる燃焼特性への影響評価については煤が大量に発生するPPとPMMAの結果を比較することで煤影響評価モデルを提案した.このモデルの妥当性については,PMMAやPP以外の試料の比較を加えることでさらに確実になると期待され,そのパラメトリックスタディは次年度に引きつぐこととする.溶融とガス化を考慮した数値計算は順調に実施できており,溶融物の流動がガス化与える影響評価について論文にまとめることができた(2021.5採択決定).
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた「一次元燃焼場における温度場計測」まで実施できなかったため,本件は次年度計画に持ち越すこととした. 初年度にモデル化をしたB定数予測の妥当性検証のため,2年目は燃焼場への温度センシングを積極的に行う.煤発生による試料への熱流入(あるいは熱損失)を検討すべく,煤からの輻射量を簡易的に求めることを考えている.具体的には,低圧化により煤発生量を制御できるため,圧力をパラメータとした際の燃焼速度の応答性から影響評価をすることができると考えられる(基本概念についてはすでに検討済みである) 微小重力実験用の燃焼システムの設計・試作・動作確認やアセンブリングについては2年目に実施することとし,コロナ感染拡大の様子を勘案し,落下実験は最終年度に行うことを計画している.溶融とガス化を考慮した数値計算は現在も進行中であり,最終年度までには,critical mass fluxの概念を適用した際の溶融流動による発火挙動の汎用モデルを提案したいと考えている.
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Research Products
(3 results)