2021 Fiscal Year Annual Research Report
THz Remote Sensor of Molecules in Fire
Project/Area Number |
20H02406
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田邉 匡生 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (10333840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 智哉 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60400529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ / ガス検知 / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
建物火災の死因別死者の37.8 %は一酸化炭素中毒・窒息によるもので、火災時の有毒ガス検知器として現在「検知管式ガス測定器」を用いている。1本の検知管が測定できるガスは1種類であり、新たなガスセンサとして、複数種類の有毒ガスを識別でき、かつ火炎や煙に近づかなくとも、遠隔で検出できる有毒ガス検知器の開発が待望されている。 4mの光路長を有する火災模擬チャンバーを使用して、有害ガスとしての一酸化炭素にあわせて二酸化炭素のほか、標準ガスとして水蒸気ならびにエタノールのテラヘルツ吸収スペクトルを大気圧化だけでなく、減圧条件でも測定した。測定周波数範囲は33~50GHz、85~95GHzである。その結果、一酸化炭素のスペクトルにおいて、33 GHzと44 GHz付近での吸収ピークを検出した。測定周波数は分子の回転運動に相当するエネルギー帯であり、一酸化炭素分子の回転エネルギー準位による吸収であると考える。39.92 GHzに観測された吸収線もあるが、透過率の減少とともに吸収強度が急激に減少しており、分子の二量体もしくは三量体を形成しているのではないかと考えている。火災現場における粉塵によるテラヘルツ波の散乱を考慮する必要があるが、テラヘルツ波を用いる火災検知の原理を確認できた。また、測定に使用したセンシングシステムのダイナミックレンジは周波数によっては5桁を実現している。 なお、シアン化水素についてその分子構造を模擬するモデル分子も含めた測定を検討した。 さらに火災現場で発生するガスについての測定として、加熱炉からの排気ガスを回収できるシステムを構築した。1000度を超える燃焼温度とすることで、燃焼対象は仕上げ材だけでなく木材も想定できるようにした。ガス温度が低下する数メートルの流路を確保することで、発生ガスの火災模擬チャンバーへの導入を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
火災現場での有害ガスである一酸化炭素のテラヘルツ波の吸収ピークを確認し、テラヘルツリモートセンシングの有効性を確認しているだけでなく、木材や仕上げ材の建築材料からの燃焼ガスに対するテラヘルツスペクトル測定が可能となり、予定通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現実の火災現場を想定した燃焼ガスだけでなく、有害液体も含めた測定を展開する。火災現場で発生する粉塵も想定する測定系として、測定技術の高度化にあわせて、測定周波数を最適化することで、現場に適用できるセンシング技術とする。
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