2022 Fiscal Year Annual Research Report
Real-time forecast of long-period ground motion for large earthquakes based on assimilation of observation data
Project/Area Number |
20H02409
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古村 孝志 東京大学, 地震研究所, 教授 (80241404)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 拓人 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90435579)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 長周期地震動 / データ同化 / 即時予測 / 伝達関数 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震観測データと地震波伝播シミュレーションのデータ同化に基づく長周期地震動の予測モデルの構築にあたり、琉球海溝や日本海溝で発生する深発地震による長周期地震動の生成過程とその距離減衰特性を調査した。特に今年度は琉球海溝沿いの深発地震を対象に、太平洋プレート上面での広角反射により、中部日本と北海道に強い地震動が起きる現象をF-netとHi-net地震波形解析と地震波伝播シミュレーションから確認した。地表のみの地震観測点でのデータ同化の限界と、深発地震の波動伝播を観測データに基づき地震発生直後に判断する手法開発が今後の課題である。また、データ同化を補う新たな長周期地震動予測手法の検討として、観測データの機械学習による長周期地震動の予測可能性を探るために、東北沖の地震を対象とする関東平野での長周期地震動予測の可能性を探る数値実験を行った。2011年東北地方太平洋沖地震の前の地震のF-net, KiK-net観測データを学習し、東北地方太平洋沖地震の本震を含むそれ以降の地震による長周期地震動の予測実験を通じて、深層学習モデルの有効性を検討した。そして、リアルタイムに観測される波動場のデータ同化に基づく予測と、事前に多量の観測データを用いて波動伝播の伝達関数の最適化推定を行う機械学習のそれぞれの得失を検討した。さらに、震源近傍の入力観測点から、長周期地震動の予測地点までの伝達関数を地震観測データから求めてデータベース化し、大地震の発生時に伝達関数を入力地震動に対して畳み込み演算を行うことで、長周期地震動を即座に予測する新たな手法についても検討した。本手法をデータ同化に融合し、データ同化が行われた波動場に畳み込むことで、それ以降の時刻の波動伝播を瞬時に予測することが可能となり、即時予測の実現性が高まることが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大地震による長周期地震動の即時予測に向けて、今年度の研究成果によりこれまで未着手であった深発地震による長周期地震動の生成と伝播特性の課題を明確化することができた。また、データ同化に基づく即時予測でボトルネックとなる計算時間の問題について、予め計算した伝達関数の活用や、深層学習モデルの活用など、問題の打開に向けた新たな研究方向性を見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで、地震観測データと地震波伝播シミュレーションのデータ同化に基づく長周期地震動の即時予測を目標に研究を進めてきたが、研究の進捗により別のアプローチとしての機械学習(深層学習)の有効性も見えてきた。データ同化と深層学習はそれぞれデータの活用における得失があり、それぞれの有効性を探り次の研究展開に繋げる。
|
Research Products
(4 results)