2021 Fiscal Year Annual Research Report
構造物やインフラ施設の非線形挙動を計測する新しいPS-InSAR手法の開発と応用
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20H02411
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松岡 昌志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (80242311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 弘之 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30418678)
劉 ウェン 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60733128)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PS-InSAR / レーダグラメトリ / 非線形変位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題で提案した新たなPS-InSAR手法(NN-PSI)について,対象物の時系列変位の種類および人工衛星の観測条件,さらに,計算過程における各種パラメータが変位推定結果に及ぼす影響について,数値シミュレーションを用いて明らかにした。対象物の時系列変位を,線形,ステップ,指数関数,周期的なものとした場合,NN-PSIは2πアンビギュイティが生じる記録であっても非線形的な挙動の大きな変位を推定でき,既往のPS-InSAR手法(PSI)より推定精度が高いことを明らかにした。また,人工衛星の観測条件をランダムにして複数回試行した数値シミュレーションによると,対象物の変位が大きくなると PSIによる推定値はばらつくのに対し,NN-PSIの推定値は安定することを明らかにした。一方,NN-PSIの計算コストの軽減を目的として,高さと変位速度の計算範囲や解像度を変更したところ,変位速度の計算範囲を狭くした場合に推定精度が大きく低下することから,観測条件から期待される変位速度の範囲に従って計算することが望ましいことを明らかにした。さらに,人工衛星のベースライン距離の頻度分布がほぼ一定となる場合には,対象物の高さが正しく推定できず,その結果,変位の推定精度が低下することを明らかにした。レーダグラメトリ手法によるDSM生成については,新千歳空港周辺を観測したASNARO-2画像を用いてDSMを生成し,既往のDTMとの比較を行った。地下埋設ライフラインの維持管理データおよび東日本大震災の被害データを収集し,時系列InSAR手法(SBAS)から得られる地震前の定常的な地盤変位と維持管理データとの間の関係について分析した。被害との関連については,非耐震管の被害は地震前後の地盤歪みに相当するLOS方向の変位勾配の大小と相関があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要な衛星データについて,JAXAのWGの枠組み,および,ガス管の被害推定高度化に関する委員会を通じて,一部のデータは無償で提供を受けたこと,有償のデータについては共同利用できたことが大きな理由である。また,昨年度購入した取得した可動型のコーナーリフレクタをSentinel-1衛星の観測条件に合わせて設置し,観測データを順調に取得している。
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法(NN-PSI)について,国内および国外を対象に,地下構造物の工事を実施している地盤や大規模構造物を観測したSAR画像に適用して手法の検証を行う。精度検証は,コーナリフレクタの設置条件との比較から実施し,現地計測データがない場合には,他の時系列InSAR解析手法(SBAS)の結果や構造物の変形に対しては外気温データ等の外的要因データとの比較を行う。DSMからDTMを生成する深層学習アルゴリズムを開発し,レーダグラメトリで得られるDSMからDTMを推定し,NN-PSIにおける対象物の高さ情報として活用する予定にしている。地震による建物およびライフラインの被害推定に関連して,熊本地震の益城町および宇城市の建物被害について,罹災調査データに基づき全壊建物をより詳細に分類し,地震前後のSAR画像のコヒーレンスと被害程度の関係を明らかにする。
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Research Products
(11 results)