2020 Fiscal Year Annual Research Report
ロボット協働合成実験と合成条件推薦システムによる新規酸化物の効率的な探索手法開発
Project/Area Number |
20H02423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 博之 京都大学, 工学研究科, 助教 (50727419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新規物質探索 / 酸化物 / ロボット協働合成実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規物質の発見は無機物質合成に携わる研究者の重要なターゲットである。既知物質の機能を大きく凌駕する新規物質が発見できれば、物性発現機構の理解を深化するだけでなく、産業のイノベーションにも繋がることが期待される。これまでに多くの合成研究者による試行錯誤により多くの物質の合成結果が報告されてきた。しかし、そのような文献データには合成成功条件のみが記載されることがほとんどであり、個々の研究者による失敗データは、公開はおろか整理されることもなく、他者が活用することも全くなかった。現在においても未発見な物質は合成条件がシビアな場合も多い。その段階で試行錯誤的な合成プロセスを採ることになれば、発見効率を大きく損ねてしまうのである。 本研究の目的は、「ロボット協働合成実験と合成条件推薦システムによる新規酸化物の効率的な探索手法開発」である。 研究1年目は28の元素からなる擬二元系酸化物で、2種類の元素を27等分のモル分率で混合すし、錯体重合法により作製した前駆体を600~1000 ℃の5通りの温度で焼成を行う合成実験のうち、最も労働負担が大きくミスの発生が懸念される前駆体作製部分の自動化を行った。ロボットアームとベルトコンベアで反応容器を移動し、チューブポンプで原料容器を指定量分注するシステムであり、最初に原料などをセットすれば無人で300試料を数時間で分注することができる。これらは一度の熱処理で縮重合反応による前駆体の合成が可能であり、合成条件データベースを従来の方法より飛躍的向上することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた有機塩を原料に用いる錯体重合法およびゾルゲル法などの前駆体作製のロボット協働実験システムは予定通り構築することができ、現在は実際に稼働しながらデータの獲得を行っている。 初年度途中から次年度にかけて行う固相反応合成の自動化にも着手し始め、主に粉末をスラリーにするために適切な溶媒の選択を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き固相反応合成の自動化と作製したシステムによるデータ収集を行う。 我々が開発した合成条件推薦システムにこのデータを入力することで、合成に成功する合成条件を選択してデータ収集を行うことで、広大な合成条件空間でも効率的に探索を行うことができる。
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Research Products
(1 results)