2021 Fiscal Year Annual Research Report
ロボット協働合成実験と合成条件推薦システムによる新規酸化物の効率的な探索手法開発
Project/Area Number |
20H02423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 博之 京都大学, 工学研究科, 助教 (50727419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新規物質探索 / 酸化物 / ロボット協働合成実験 / 合成条件推薦システム |
Outline of Annual Research Achievements |
新規物質の発見は無機物質合成に携わる研究者の重要なターゲットである。既知物質の機能を大きく凌駕する新規物質が発見できれば、物性発現機構の理解を深化するだけでなく、産業のイノベーションにも繋がることが期待される。これまでに多くの合成研究者による試行錯誤により多くの物質の合成結果が報告されてきた。しかし、そのような文献データには合成成功条件のみが記載されることがほとんどであり、個々の研究者による失敗データは、公開はおろか整理されることもなく、他者が活用することも全くなかった。現在においても未発見な物質は合成条件がシビアな場合も多い。その段階で試行錯誤的な合成プロセスを採ることになれば、発見効率を大きく損ねてしまうのである。 本研究の目的は、「ロボット協働合成実験と合成条件推薦システムによる新規酸化物の効率的な探索手法開発」である。研究2年目は前年度に作成した合成条件のデータベースに対して、申請者らが開発した合成条件推薦システムを適用して未実験の合成条件の中から複合酸化物の合成に成功する見込みの高い条件を効率よく予測するための手法を検討した。具体的には、初期に与えるデータとして既知物質と未知物質に対する合成結果の割合を変化させたり、データ数を固定したうえで合成成否の割合を系統的に変化させ、予測結果の変化をROC曲線を用いて評価した。また、予測結果に基づいて逐次行う実験も、予測上位の割合を系統的に変化させ、最も早く合成成功条件を発見できる手法を検討した。 予測と検証実験を効率的に行えるようになったことで、ロボット協働による物質探索をさらに加速することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成ロボットの作製は微調整を残すのみで、すでに稼働して多数のデータを得ることができるようになっている。また、前年度までに獲得した数千件程度の小規模なデータベースを基に合成条件推薦しシステムの効率的な運用方法も十分に検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続きロボット協働でのデータ収集を行う。 既に収集した数千の合成結果から、広大な未実験条件のうち合成成功見込みの高い合成条件を推薦システムを用いてピックアップし効率的に探索を行うとともに、実際どの程度効率化できたかを定量的に評価するためランダムに選択した場合の合成結果とも比較を行う。
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Research Products
(1 results)