2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an in-situ straining and electron tomography imaging system
Project/Area Number |
20H02426
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60264107)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電子線トモグラフィー / その場観察 / 転位 / 深層学習 / 画像処理 / 高速撮影 / STEM / 三次元観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶欠陥である転位の動的三次元観察を透過型電子顕微鏡法により可能にするための技術開発と、その応用を目的としている。今年度は、その場観察に耐え得る三次元画像1フレームあたりのデータ取得時間を、既存の共用電子顕微鏡で可能な最短時間にし、画像処理などソフト的な技術援用により転位の高速三次元観察の実現を目指した。 観察対象はオーステナイト鋼中の転位組織とした。 ゴニオメータの高速回転により試料を+70度から-70度まで約 5 秒間で連続傾斜させ、その間に 512 x 512 pixel のSTEM明視野像を30 ms/frameの撮像速度で約70枚連続収録した。電子プローブ走査速度の高速化に伴 い、STEM 像のひずみ、彗星状の擬像、シグナル/ノイズ比の低下が顕著になった。3D 再構成画像に影響を 及ぼすこうしたアーティファクトは、一部に深層学習を活用した画像処理を組み合わせることで効果的に低 減できた。深層学習による擬像・ノイズ除去フィルターの構築に必要な欠陥画像と教師画像のデータセット には、同様の高速 STEM 撮像を視野および試料傾斜角度を変えながら繰り返し行って得たものが有効である ことを確認した。さらに STEM 連続傾斜像における二点間の距離から、各連続傾斜像についてゴニオメータ 高速連続回転時の試料傾斜角度を校正した。以上の要素技術開発を経て得た 5 秒収録 STEM 連続傾斜像デー タと、通常の方法により数十分かけて収録した STEM 連続傾斜像データから 3D 画像再構成を行い比較する ことで、本高速 STEM 連続傾斜像収録技術の有効性と課題を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セメンタイトを一部球状化させた芯線パーライト鋼で、セメンタイト粒子をバイパスしようとする転位の三次元ダイナミクスをその場TEMトモグラフィーにより撮影することに成功し、論文発表することができた。また、高速STEM転位トモグラフィーの手法開発も順調に進んだ。一方、他の材料や観察対象への応用は遅れており、これは学外のグループと予定していた共同研究がほぼ進まなかったことが一因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
STEMによるその場転位トモグラフィー観察に挑戦し、手法の確立を目指す。また、昨年実施できなかった学外のグループとの転位トモグラフィー観察に関する共同研究に着手する。
|
Research Products
(12 results)