2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an in-situ straining and electron tomography imaging system
Project/Area Number |
20H02426
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60264107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三次元 / 転位 / 電子線トモグラフィー / 焼結 / 圧縮センシング / その場観察 / 変形 / 加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶中の線状欠陥である転位の三次元ダイナミクスを可視化するための電子顕微鏡要素技術を開発し、その場三次元転位ダイナミクス観察に応用するこで、結晶塑性の未解明な問題への貢献を図ることを目的としている。
今年度は、結晶を変形しながら転位を観察する際に避けられない観察条件の悪化に対応すべく、連続傾斜像の取得条件を意図的に悪くした状況で信頼できる三次元再構成画像を取得する方法について検討した。具体的には、平均粒径150 nmの低温焼結性Cu粉末の加熱および連続傾斜観察を行った。この際、試料ホルダーの寸法の影響で、最大傾斜角度が±40°に制限される。通常は±60°から±80°まで傾斜されるので、±40°は高傾斜側のデータが著しく制限されたケースである。これは、試料の変形や破断のその場観察に伴う事例として十分に想定できるものである。
高角度環状暗視野走査透過電子顕微鏡法で連続傾斜像を撮影し、三次元再構成画像の取得には、申請者らが開発した圧縮センシングベースのアルゴリズムISERを適用した。球体モデル画像でパラーメータの最適化を行ったのちに、上記のCu粉末の連続傾斜像データに適用したところ、予想に反して試料無傾斜時の試料厚み(電子線入射)方向に伸びた形状に再構成された。この原因を検討したところ、低電子線量条件にしたことによるノイズコントラストが主要因と判断された。そこで、BM3Dと呼ばれるノイズフィルタリング処理を適用し、再度ISERにより再構成を行うことで、上記の粒子の伸びを効果的に低減することができた。この手法を用いて、Cu粒子の焼結のダイナミクスを、再構成試料形態の信頼性を確保しつつ三次元動画像とすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に海外グループ(中国 重慶大学など)と計画していた共同研究によるその場三次元観察の応用が遅れている。これは当該共同研究グループとの交流が長期間できない状態にあることによる。その場変形電子線トモグラフィー観察により明らかにしたい課題を議論した結果、個々の試料に応じた様々な実験条件の検討が必要となるために、単に試料を郵送いただいて依頼観察のような形で行うという作業では研究を完遂できない(期待するデータを得ることが困難)ことが判明したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
観察対象を研究代表者が入手、実施できる純金属等の単純な系に変更して、応用研究を進める。
加熱実験の有効性を昨年度示せたので、変形だけでなく、加熱による転位ダイナミクスあるいは焼結過程観察の高度化に挑戦する予定である。
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Research Products
(16 results)